「プロフィール」で“ヤフーならではのWeb2.0”を
SNS「Yahoo!Days」のプロフィール機能が、2月13日から新サービス「Yahoo!プロフィール」に生まれ変わる。ヤフーの多様なサービスを「ユーザーとその友人」という新たな軸でつなぐ試み。2年越しの計画がやっと実現する。
ヤフーは、SNS「Yahoo!Days」のプロフィール機能と友人登録機能を切り出し、新サービス「Yahoo!プロフィール」として2月13日から公開する。
プロフィールは、ブログや音楽サイト、写真投稿など同社のさまざまなサービスに貼り付けられるようにする予定。ユーザーの“顔”と“つながり”を各サービスに追加し、コミュニケーションを活性化する狙いだ。「Yahoo!Daysを各サービスのハブにしたい」――2年前、オープン当初からの計画が、形を変えてやっと実現することになる。
年内に数十サービスで対応 API公開も
13日から、招待制だった「Yahoo!Days」を誰でも参加できるよう仕様変更。プロフィールの基礎部分(ハンドルネーム、プロフィール写真、友人一覧、友人からの紹介文)はネット全体に公開し、それ以外の項目(性別や生年月日、母校など)は、公開範囲を「ネット全体」「友人まで」などから選べるようにする。プロフィール写真には「Yahoo!アバター」も利用できるようにする。
プロフィールに対応するサイトは、当初はYahoo!Daysのみだが、3月末までに4〜5個、年内には数十のサービスで対応していく予定。ユーザー参加型機能を持つサービスを中心に対応させていく。「Yahoo!ブログ」「Yahoo!オークション」などに表示していたユーザープロフィール「公開プロフィール」は、Yahoo!プロフィールに置き換える。
機能も順次充実させる。友人登録機能では、気になるユーザーを一方的に「お気に入り」登録できる機能を追加。友人やお気に入りユーザーの最新投稿を受け取れる機能も追加する。最新投稿は「Yahoo!メッセンジャー」や「Yahoo!ツールバー」でも受け取れるようにするほか、APIも公開し、外部サイトでもプロフィールを利用できるようにしていく。
既存サービスとの折り合いに時間がかかった
「Yahoo!Days」はmixiに遅れること約2年、2006年3月にオープンした。当初から「単なるSNSではなく、ヤフーの多様なサービス間をつなぐプラットフォームにしていく」という計画だった(関連記事参照)。
だが他サービスとの連携は進まず“単なるSNS”の状態が約2年以上続いていた。「既存のサービスとの折り合いや、セキュリティーを意識した開発などに時間がかかった」と、同社ソーシャルネット事業部の寺岡宏彰さんは話す。
当初は、Yahoo!Daysの中に他サービスへの入り口を取り込む連携の形を想定していたが、プロフィール部分だけを切り出す形に転換した。「Daysだとサービスとして型にはまりすぎていて自由度が低いと考えた」ためという。
かぶりは気にせず「多様な入り口」を
「ネットユーザーが見たいものは、3つしかないのでは」と寺岡さんは言う。(1)みんなが興味あるもの、(2)気になるユーザーが興味あるもの、(3)仲のいい友人が興味あるもの――の3つだ。ヤフーでは(1)をYahoo!JAPANのトップページなどでカバー。(2)と(3)を、Yahoo!プロフィールでカバーしていく。
Yahoo!プロフィールを通じ、人気のコンテンツやユーザーが興味のあるコンテンツだけを受け取る機能も装備していく計画。同様な機能は「MyYahoo!」などヤフーの他サービスにもあるが、「ヤフーのサービスは多い。正直、かぶりは気にしていられない」という。
ヤフーのユーザー層は多様。ヤフーへの入り口もトップページ、メール、ツールバー、ブログ、Daysなどユーザーによってさまざまで、「ソーシャル的なものに興味がない人もかなりの数いる」と見ている。「何が何でもプロフィールを使ってほしい」というよりは、それぞれのユーザーに合った“入り口”からヤフー内に入ってもらいたい考えだ。
ヤフーならではのWeb2.0を
ヤフーの展開するCGM系のサービスは、長く続いてきた「オークション」「掲示板」以外は、ヤフー全体のユーザー規模からすると盛り上がりに欠ける傾向があった。寺岡さんは「個人的意見だが“ヤフーならでは”の部分が少なかったためでは」と分析する。
プロフィールは、多様なサービスを持つヤフーだからこそ意味を持つ“裏方”。ユーザーという軸で多様なサービスをつなぐ役割を担わせ、Web2.0的なユーザー発信型プラットフォームとして発展させていく計画だ。
関連記事
- ヤフーのSNS、誰でも参加可能に 新「Yahoo!プロフィール」前面に
ヤフーはSNS「Yahoo!Days」を2月ごろにリニューアルする。誰でも登録・利用できるように変更した上で、プロフィール機能を切り出し、新サービス「Yahoo!プロフィール」として公開する。 - 「『健全な場』が最後に勝つ」「ケータイはPC超える」「Androidはうさん臭い」
「世界一のサイト」としてポータルナンバーワンの座を堅持し、業績も好調なヤフーだが、動画投稿サイトは「ニコニコ動画」に、SNSは「mixi」に遠く及ばず、モバイルのPVは「モバゲータウン」に見劣りするなど、Web2.0的と呼ばれる分野は弱い。井上社長は現状をどう見て、どこを目指そうとしているのだろうか。 - 「mixiを追いかけても意味がない」――ヤフーSNS、会員向けに開放
ヤフーのSNSが、Yahoo!BBとプレミアム会員なら招待なしで利用可能になった。「今からmixiを追いかけても意味がない」とし、ポータルでもmixi型でもない、独自の道を探る。 - ヤフーが目指す「SNS以上」
ヤフーはSNSを、同社サービスのプラットフォームとして進化させる計画だ。純粋なコミュニケーションツールとして育ってきた「mixi」とは異なる方向を目指す。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.