日本のネットユーザー、セキュリティ対策は「最低」――シマンテック調査
セキュリティソフトを導入したり、パスワードを頻繁に変更しているユーザーの割合は、世界8カ国中で日本が最低だった。
セキュリティ対策が最も甘いのは日本――シマンテックが2月21日発表した「ノートン・オンライン生活リポート」によると、日本は、セキュリティソフトをインストールしているユーザーが世界8カ国中最も少なかった。フィルタリングソフトを導入するなど、子どもがネットを利用する際に何らかの対策を取っているユーザーの割合も、日本が最低だった。
調査は昨年11月12日から12月17日にかけ、日本、米国、英国、ドイツ、フランス、オーストラリア、中国、ブラジルの計7404人(18歳以上の「成人」4687人、8〜17歳の「子ども」2717人)を対象に、ネットで実施した。
調査によると、成人の85%、子どもの52%が、スパムメールの受信やハッキングなど、何らかのサイバー攻撃を経験していた。
日本の成人の93%が「セキュリティソフト無しのネット利用に不安を感じる」と答えたが、セキュリティソフトを導入している成人は61%、パスワードを頻繁に変更しているのは13%と、どちらも8カ国中最低だった。
日本の成人のうち、「信頼するサイトだけを閲覧する」と答えたのは56%。アダルトサイトを閲覧したことがあるのは37%だった。
同社は「ネット上での自衛策がもっとも甘いのは日本ユーザー」と指摘している。
子どものネット利用にも無関心?
18歳以下の子どもを持つ日本のユーザーのうち「子どもがネットで何を見ているか把握している」と答えたのは57%と8カ国中最低。最も多いのは米国の79%だった。
子どもがネットを利用する際、アダルトサイトなどにアクセスしないようフィルタリングするなど、具体的な対策をしている日本のユーザーは5%と、こちらも最低。最も対策していたのは米国(48%)だった。
「子どもがネットで何をしているか親子で話し合う」というユーザーも日本が最低(22%)。最高は中国(71%)だった。
アダルトサイトの閲覧や、知らない相手に個人情報を渡すなど「親に許されないことをネットで行っている」と答えた子どもは、日本とフランスが最も少なく16%。最多は中国で55%だった。
ネットのルールやマナーの啓発活動などを行うインターネット協会の大久保貴世主任研究員は「ネット上では必要以上に自分をアピールしないよう、子どもに教えてほしい。ネットでは発信した言葉や写真を取り戻すのは難しいと知ってほしい」と話す。
同協会の専用メールには「ネット上でひぼう中傷を受けた」などの悩み相談が2001年7月〜2007年12月で計3643件寄せられた。件数は年々増えているという。
未成年向けの携帯サイトのフィルタリングについては「自分の行動に責任を持てる年齢になるまで、フィルタリングはかけるべき」と話した。
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