Comcast、P2P技術企業に出資
「ネットの中立性を侵害」と批判されていたComcastが、BitTorrentとの協力に続き、P2P動画配信サービスの提供企業との提携を発表した。
P2P動画配信技術の米GridNetworksは5月19日、米大手ISPのComcastとの包括的提携を発表した。また、Comcastによる出資を受けたことも明らかにしている。出資額は非公開。
GridNetworksは、インターネット動画配信サービス「GridCasting」を、主にメディアやエンターテインメント企業に対して提供している。GridCastingは、HD(高精細)画質のフルスクリーン動画をISPネットワーク上でより効率的かつ低コストで配信することが可能だという。
Comcastは「当社は現在、ISPネットワーク上でのP2Pの効率改善を目指し、多くの技術企業や標準化団体のIETF(Internet Engineering Task Force)などと協力しているところであり、GridNetworksとの提携はタイムリー」とコメント。ISPネットワーク上で「著作権で保護されたコンテンツの合法的配信を可能にする」ためのP2Pの応用に興味があるとして、「GridNetworksはこの分野での経験があり、課題解決のために価値ある貢献をしてくれるだろう」としている。
Comcastは、BitTorrentやGnutellaなどのP2Pファイル交換ネットワークを減速/遮断するなど「ネットの中立性」を侵害しているとして、デジタル権利擁護団体などから苦情を受けていたが、3月には新しい配信アーキテクチャの検討や開発に向け、BitTorrentをはじめ、ISPやテクノロジー企業と協力していく方針を打ち出している。
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