帯域規制騒動の当事者、ComcastとBitTorrentが「協力」
P2Pトラフィックを規制するなど「ネットの中立性を侵害している」と批判されてきたComcastが、P2PサービスのBitTorrentと共同で課題に対処すると発表した。
米大手ISPのComcastとP2Pサービスの米BitTorrentは3月27日、「リッチメディアコンテンツ配信とネットワーク帯域管理に関する課題」に共同で対処していくと発表した。2社間での協議だけでなく、業界を超えた幅広い対話の促進を図りたいとしている。
両社は既に議論を重ねており、その1つの成果としてComcastは、2008年末までにプロトコルにとらわれないネットワーク帯域管理技術へと移行する計画を発表。「今のインターネットトレンドにより適したトラフィック管理技術」が実現できるとしている。
一方のBitTorrentは、Comcastなど一部ISPがP2Pトラフィックを制限していたことについて、もっと良い管理技術を採用できたはずとしつつも、ISP側にとってのネットワーク帯域管理の必要性を認めた。その上で、「従来と比べ、Webがよりリッチになり、帯域にさらに負担を掛けるものになったことを考えれば、Comcastが変化するトラフィックパターンを理解し、当社と協力してより透明性の高い技術へ移行することは喜ばしい」としている。
「P2P技術は、合法的なコンテンツ配信技術として成熟した」とComcast。ネットワーク全体でP2Pをサポートするためのアーキテクチャが必要だとして、ComcastとBitTorrentは、ほかのISPやテクノロジー企業などと「新しい配信アーキテクチャの検討や開発」で協力することでも合意している。その第一歩として、BitTorrentはクライアントアプリケーションを新しいブロードバンドアーキテクチャに最適化し、その成果をオープンフォーラムや標準化団体に公開するという。
Comcastに対しては、同社がBitTorrentやGnutellaなどのP2Pファイル交換ネットワークを減速/遮断するなど「ネットの中立性」を侵害しているとして、2007年にデジタル権利擁護団体などが、米連邦通信委員会(FCC)に苦情を申し立てている。
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