「ロボット放送」スタート 家庭用ロボを“情報メディア”に
ネット接続に対応した2足歩行ロボットを通じ、さまざまなコンテンツを配信する新ビジネス「ロボット放送」の実験が始まる。
ロボットベンチャーのスピーシーズ(東京都渋谷区)は、インターネット接続に対応した2足歩行ロボットを通じ、ネット経由でさまざまなコンテンツを配信する新ビジネス「ロボット放送」(Bod Casting)の実験を6月30日に始める。
ネットに接続したロボットが、配信されたニュースを読み上げたり、ネット動画に合わせて踊ったり、テキストチャットの内容に合わせて動いたりする――といったサービス。家庭用ロボットをネットとつなぐことで、テレビのような新メディアに成長させることを目指している。
ビジネスモデルはiPodやiTunesと似ているといい、ロボットのハード販売と、ネット経由で配信するコンテンツ販売、広告展開などを収益源にする計画。他社ブランドロボの発売や他社からのコンテンツ配信も積極的に進め、外部企業を巻き込みながら「ロボット放送市場」を拡大していきたい考えだ。
「家庭用ロボット普及へのハードルは2つある。価格とアプリケーションだ」――東芝とソニーを経て、2001年に同社を創業した春日知昭社長は言う。
ロボット放送は、それぞれの課題を解決しようという試みだ。実験ではセットで約40万円する既製品を使うが、廉価版の専用ロボットも開発中。本サービス開始に合わせ、6〜8万円で来年2月に発売する予定だ。
ネットコンテンツと連動する専用アプリを新開発した。ネット経由でテキストをロボットに読み上げさせたり、指定した動きをさせたり――といったことが可能だ。
Webコンテンツと連動でき、RSS配信されたテキストを読み上げたり、Web動画に合わせて指定した通りに踊らせることもできる。目覚まし時計やタイマー機能、メッセージを録音・再生する機能も装備。「リビングルームにいて役立つ」ロボットにし、ラジオ、テレビ、PC、携帯に次ぐ第5のメディアにいしたいとしている。
さまざまな企業とタイアップする計画。他社に技術提供して他社ブランドのロボット本体を開発するほか、ロボットに配信するコンテンツも他社が開発・配布できるようにする。
例えば、レコード会社がネット配信中の楽曲ビデオに合わせてロボットを踊らせるプログラムを配布したり、新聞社がニュースコンテンツを配信し、ロボットに読み上げさせたり、ネットの動画CMに連動してロボットを動かし、広告事業を展開する――といったビジネスを想定する。
まずは6月30日に「試験放送」を開始。テスト用ロボットキットを発売する。キットはネットを介して遠隔操作できる2足歩行ロボット本体「SPC-101C」(体長約33センチ)と専用アプリ入りで39万9000円。「本放送」は来年2月にスタート予定。廉価版ロボット「NNR-1」を6〜8万円で発売し、一般家庭への普及を目指す。
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