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著作権保護期間延長「十分な合意得られず」 パブリックコメント募集へ
著作権保護期間の延長問題について、文化審議会の小委員会で結論が先送りに。パブリックコメントを募った上で議論を続ける。
文化庁長官の諮問機関・文化審議会著作権分科会の「過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会」は、著作権保護期間の延長問題について「十分な合意が得られたという状況ではない」とする「中間整理」案をまとめ、結論を先送りした。パブリックコメントを募集した上で、小委員会で議論を続ける。
中間整理案では、保護期間延長について「肯定的な立場と否定的な立場から意見がさまざまに出されて」おり、意見が集約できていないと指摘。「保護と利用のバランスについて、調和の取れた結論が得られるよう検討を続けることが適当」としている。この案に対して委員から目立った反対意見はなかった。
小委員会は、10月1日に開かれる親委員会・著作権分科会に中間整理を報告する予定。10月中をめどにパブリックコメントを募集し、その結果を分析した上で議論を続ける。
小委員会は昨年3月にスタートしたが、パブリックコメントを募集するのは初めて。文化庁は「パブリックコメントは時間をかけて詳細に分析する予定」としており、次回の小委員会を年内に開けない可能性もあるという。
著作権保護期間は、現行の著作権法では著作者の死後50年。これを70年に延長すべきかを、小委員会で議論してきた。
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