「安心なネット」は民間主導で キャリア各社やネット大手などが協議会発足へ
青少年が安心してインターネットを利用できるよう、民間主導の取り組みを――ネット関連企業やPTAの全国組織代表者、大学教授などが発起人となり、「『安心ネットづくり』促進協議会」を来年1月に設立。4月から活動を始める。
青少年が安心してインターネットを利用できるよう、民間主導の取り組みを――NTTドコモなど携帯電話事業者やヤフー、ミクシィなどネット関連企業、PTA全国組織や地方自治体の代表者、大学教授など19人が発起人となり、「『安心ネットづくり』促進協議会」を来年1月に設立する。
10月8日に設立発起人総会を開き、各社の社長など発起人がそろって会見。世話人の中村伊知哉・慶応義塾大学教授は「民間だからこそできる取り組みを進めたい」と話し、リテラシー教育を中心とした活動計画案を示した。
これまで携帯キャリアやネット事業者、地方自治体などは、有害コンテンツのフィルタリングに取り組んだり、個別にネットリテラシー教育を行うなどしてきたが、活動はばらばらだった。同協議会では、各社と保護者、自治体、大学などが連携し、教育・啓発活動に総合的・全国的に取り組む。「ネットの影の部分だけでなくすばらしさも伝える」としている。
具体的には、(1)全国でシンポジウムを開くなど、ネットリテラシー教育の普及啓発活動、(2)ネットを安全に利用してもらうための目標「自主憲章」をサイト管理者が作ったり、第三者機関による認定制度の普及を促すなど、自主的な取り組みの促進、(3)啓発活動を紹介する機関誌やポータルサイトの運営――などを行うことを検討している。
11月7日以降に会員企業を募集し、来年1月に設立総会を開いて会長などを選任。活動計画を詰め、4月から活動をスタートする。正会員(年会費1口50万円以上)と賛助会員(同5万円以上)は、通信・ネット事業者や機器メーカー、放送事業者、ソフトウェアベンダーなど企業から、特別会員を地方公共団体や学識経験者などから広く集める。
発起人は、NTTドコモの山田隆持社長、ソフトバンクモバイルの孫正義社長、KDDIの小野寺正社長、ヤフーの井上雅博社長、ディー・エヌ・エー(DeNA)の南場智子社長、ミクシィの笠原健治社長、楽天の三木谷浩史社長、全日本空輸の山元峯生社長、マイクロソフトの樋口泰行社長、インターネットイニシアティブの鈴木幸一社長、一橋大学の堀部政男名誉教授、ベネッセコーポレーションの福島保社長、富士通の間塚道義会長、東京海上日動火災保険の石原邦夫会長、全国高等学校PTA連合会の高橋正夫会長、日本PTA全国協議会の曽我邦彦会長、慶応大の村井純教授、金子郁容教授、東京都三鷹市の清原慶子市長。
DeNAの南場社長は「当社も個別でいろいろな対策をしてきたが、協議会ではもう少し幅広く、利用者や保護者のリテラシー向上も含めた取り組みをしていきたい」とコメント。ミクシィの笠原社長も「当社だけでなく、全体の安全性向上に取り組んでいきたい」と述べた。
ソフトバンクの孫社長は「子どもには携帯電話を持たせないとかネットに触らせないなどといった規制は行きすぎ。日本の若者が外国よりも“ネット音痴”になっては困る。安全・安心の環境整備は重要で、配慮は進化のために必要だが、極端な配慮は進化をさまたげる。バランスが大事だ」と語った。
地方自治体からの唯一の発起人である三鷹市の清原市長は「各自治体では自主的なリテラシー教育を行っているが、地域による偏りをなくし、国民的な運動にしていきたい」と抱負を述べた。
日本PTA全国協議会の曽我会長は「子どもたちには、標識もない高速道路ではなく、安全な子ども用道路を歩けるようにしたい。こういった場があれば、PTAは国や市町村に対してお願いするだけでなく、企業に直接お願いできる」と協議会の設立を歓迎した。
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