未来のテレビは? 久夛良木氏「Eee PC化する」 麻倉氏「壁になる」(2/2 ページ)
久夛良木健氏と麻倉怜士氏が未来のテレビを展望。久夛良木氏は「Eee PCのような低スペックなテレビで、ネットの向こうのリッチなコンテンツを楽しめる時代がすぐに来る」と予見する。
コンテンツ、どう見付ける?
今後、ネット上に動画コンテンツがあふれてくると、ほしい動画にたどり着くための検索やレコメンドの仕組みが重要になってくる。自分が過去見た動画と似た傾向の動画だけでなく、新しい発見・出合いのあるレコメンドエンジンがほしいと、麻倉氏と久夛良木氏は口をそろえる。
麻倉氏は、自分専用レコメンドエンジンの登場に期待する。「現在の協調フィルタリングのように、他人が見たものをレコメンドするのではなく、自分の分身が動画サーバの中にいてチェックしてくれたり、自分にぴったりの番組を作ってくれるようなエンジンがほしい」
久夛良木氏は、目利きによるレコメンドに信頼を置く。「わたしは、すばらしいBDソフトを知りたければ麻倉さんに聞く。食べ歩きも好きだが、友人が本に載ってないような料理屋も教えてくれる。ネットに動画があふれる時代は、(目利きの)作家、編集者、プロデューサーにとっては、ビジネスチャンスだろう。(自分が社外取締役をしている)角川にとってもすごくチャンスと思う」
「しがらみやルール」を離れて
2人が想像する未来のテレビを一言で総括すると、枠のない――「フレームレス」のテレビだ。「今のテレビには、放送局やカメラ、画素というフレームがあるが、未来のテレビはそういったフレームから離れたところにある」(麻倉さん)
そんな未来のテレビは、技術的には実現可能なことがほとんどだ。ネット接続でき、FlashやJavaScriptなど各種プラグインに対応し、ユーザーインタフェースを工夫した“ネットテレビ”と、ネットテレビに配信するリッチなコンテンツ、検索の仕組みがあれば、「魔法が起こせる」(久夛良木氏)。
だが現在、大手メーカー製テレビのネット機能は貧弱だ。YouTubeを直接閲覧できるテレビは、パナソニックの「VIERA」の一部機種ぐらい。従来の放送局やテレビビジネスに伴うしがらみが、未来のテレビの実現を阻むハードルになっている。
「いろんなしがらみやルールがあり、ハード側もサービス側もなかなか切り替えられない。メーカーは、やれること、やらなきゃならないことが分かっていて、原価率や、上司をどう説得するかなどを考えなくちゃいけなくなるから、夢のテレビがなかなか実現しない。技術的にはすぐにでも可能だが、実現するのは来年ではなく10年後、という話になってしまう」(久夛良木氏)
「未来学者のレイ・カーツワイルが言っているように、情報処理の速度は加速度的に高速化している。みんなが想像するようなものは、かなりのものが実現できる時代になっている。さらっととてつもないことができる可能性がある」(久夛良木氏)
ネットには「時間軸」が欠けている
久夛良木氏は「いまの文字ベースのネットに一番欠けているのが時間軸だ」と指摘する。「時間軸の概念がネットにないのは不届きだと思う。ググってもタイムスタンプで並び替えられない。タイムドメインが動き、タイムマシンがそこにあるような、映画『20世紀少年』のような世界観が、次のネットについてのわたしの妄想だ」
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