大日本印刷は4月27日、低コストで折り曲げられる透明導電性フィルムを開発したと発表した。タッチパネルや有機ELなどで使われているITO(酸化インジウムスズ)フィルムの代替や、電波吸収帯としての利用を見込む。5月からサンプル出荷し、今秋から本格的に販売する。
印刷技術の応用や、各種材料の改良などにより、フィルム上の必要な部分にだけ導電性材料をパターン印刷。蒸着やエッチングなどが不要で、大量生産できる生産技術を開発した。導電性粒子には銀などを利用し、希少金属を使うITOフィルムより低コスト化した。
導電性粒子をメッシュ状に細かくパターン印刷したため、柔らかいフィルムに印刷できる。有機ELや電子ペーパー、太陽電池の透明電極やアンテナなど薄くフレキシブルなフィルムが要求される分野に利用できる。
多様なパターンを印刷することも可能。カットしたい電波の周波数に合わせてピッチを設計し、設置済みのガラスなどに貼り付けて電波吸収帯として利用できる。
ITOフィルムは大規模な蒸着設備が必要でコストがかかる上、柔軟なフィルムに形成する場合は、割れやキズが発生する可能性があったが、新フィルムならこれらの課題を解決できるとしている。電波吸収帯として利用する場合も、あらかじめガラスに組み込む必要がないというメリットがある。
タッチパネルや有機EL、太陽電池向け透明導電性フィルム、病院などのガラスに使われる電波吸収体などを中心に、2012年度までに30億円の売り上げを目指す。
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