Amazon CEO、「消えたKindle電子書籍」問題で謝罪
ユーザーのKindleからジョージ・オーウェルの作品が消えた件で、AmazonのベゾスCEOは、権利の問題で電子書籍を削除したと説明し、謝罪した。
米Amazon.comのジェフ・ベゾスCEOが、ユーザーのKindleからジョージ・オーウェルの2作品が消えた件について自身のサイトで謝罪した。
7月16日ごろ、Kindleユーザーは「動物農場」「1984」が同デバイスのライブラリから消えたことに気付いた。同じころ、Amazon.comからユーザーに、これら作品の払い戻しをするというメールが届いた。
オンラインでは議論が起き、Amazonが全体主義的統制や監視社会をテーマにした書籍を削除したという皮肉な状況について多くの人がコメントした。Amazon.comは17日に、オーウェル作品を削除したのは、同社に権利がなかったためと説明した。
「権利者から連絡を受けて、当社のシステムと顧客のデバイスから違法な複製を削除し、顧客に返金した」とAmazon.comの広報担当ドリュー・ハードナー氏はNew York Timesに語っている。
それでも顧客は、Amazon.comが自分のライブラリに入り込んで書籍を消したことを不愉快に感じたようで、ベゾス氏は謝罪を余儀なくされた。
「1984などKindleで不正に販売された書籍の扱いについて謝罪する」とベゾス氏は23日にKindleサイトのフォーラムに投稿している。「われわれの『解決策』は愚かで思慮に欠け、われわれの信条から外れたものだった」
「完全にわれわれの責任であり、批判されたのも仕方がない」と同氏は締めくくっている。「この痛烈なミスから得た教訓を生かして、これからはわれわれの使命に合った、よりよい決定を下す」
フォーラムへのその後の投稿を見ると、謝罪は大半のユーザーに受け入れられたようだ。
「ありがとう。これは大した問題ではなかった」とあるユーザーは書き込んでいる。
「今日Kindleを買った」と別の人は記している。「無断で書籍を消されるかもしれないということが深刻に受け止められたということだ。わたしが委ねたわずかな自主性を尊重してくれて感謝する」
Amazon.comは、向こう数年間に数十億ドルを稼げるかもしれない電子書籍リーダー市場で優位を得ようと急いでいる。Barclays Capitalのダグ・アンマス氏の最近の推定では、KindleはAmazon.comに2010年に12億ドル、2012年に37億ドルの売り上げをもたらす可能性がある。
しかし競争は激化しており、新興企業Plastic Logicは2010年初めに、AT&Tの3Gネットワーク経由で文書や書籍を無線でダウンロードできる電子書籍リーダーをリリースする。だがPlastic Logicは自身をモバイルワーカー向けと位置付けており、Microsoft Word、PowerPoint、PDF文書をダウンロードする機能を強調している。
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