AMDのルイズ元CEO、GLOBALFOUNDRIESの会長を辞職――インサイダー取引事件の余波続く
3月にAMDから分社したGLOBALFOUNDRIESの会長に就任したヘクター・ルイズ氏、IBMで次期CEOの有力候補とみなされていたロバート・モファット氏、Intelの幹部であるラジブ・ゴール氏などが退職・休職した。
米IBMと米Intelの幹部から逮捕者まで出た2500万ドル規模のインサイダー取引事件の余波は今も続いている。
IBMで年商200億ドルのハードウェア事業の元責任者だったロバート・モファット氏は、IBM、Advanced Micro Devices(AMD)、Sun Microsystemsに関する機密情報をヘッジファンドのマネジャーに提供した容疑で起訴された後で休暇扱いとなっていたが、同氏は既に退職し、もはや同社に在籍していないと伝えられている。
また11月2日には、米AMDのヘクター・ルイズ元CEOが米GLOBALFOUNDRIESの会長を辞職したという発表があった。GLOBALFOUNDRIESは、AMDとアブダビのATIC(Advanced Technology Investment)が共同で設立したチップ製造会社。ルイズ氏がこの事件との関連で起訴状で名指しされているわけではないが、同氏は裁判所に提出された資料で言及されている「AMD幹部」であると報じられている。
一方Intelは、サンフランシスコの法律事務所Orrick, Herrington and Sutcliffに自社の内部調査を依頼した。Intelの財務部門の幹部ラジブ・ゴール氏は、同社の財務状況および米Clearwire(Intelが出資していたワイヤレス企業)に関する非公開情報をヘッジファンドの米Galleon Managementに提供したとされている。ゴール氏は、インサイダー取引事件に関連して10月16日に同氏ほか5名が起訴された後、休職扱いとなった。
Intel幹部らは、10月に立件されるまで連邦政府の調査のことは知らず、今後の捜査に協力するつもりだとしている。また、社内でも独自に調査を行うことを約束している。社内調査はオリック氏、ヘリントン氏、サトクリフ氏が担当するという。
IBMのシステム&テクノロジー部門の元上級副社長兼グループエグゼクティブのモファット氏は、サム・パルミサーノ現CEOの後継者候補と業界関係者の間で目されていたこともあった。IBM在籍31年のベテラン幹部であるモファット氏は、IBMの財務状況ならびにAMDとATICとの取引に関する情報を、米ヘッジファンドNew Castle Fundsのポートフォリオマネジャーのダニエル・キエシ氏に提供したとされている。さらに同氏には、Sunの買収をめぐるIBMの関心およびSunの財務状況に関する情報をキエシ氏に提供したという嫌疑もかけられている。米証券取引委員会とFBIの調査官らによると、キエシ氏はモファット氏の個人的な友人だという。
モファット氏の後任にはロッド・アドキンス氏が就任する予定だ。同氏はモファット氏が起訴されたのを受け、10月19日に暫定後任者に指名された。IBMに30年近く在籍するアドキンス氏は、同社でシステム開発、デスクトップ、UNIXベースのサーバなどの分野に携わってきた。
司法省はこの事件に関連して裁判所に提出した資料の中で、AMDとATICとの取引に関する情報をキエシ氏に提供した人物としてAMDの幹部(名前は明記されていない)にも言及している。Wall Street Journalは10月、情報筋からの話として、そのAMD幹部とは同社の元CEOのヘクター・ルイズ氏であると報じた。
GLOBALFOUNDRIESは11月2日付の短い発表文の中で、ルイズ氏は同社の会長として「自主的に休職」しており、2010年1月に退職する予定だと述べている。同社によると、ルイズ氏は9月に退職届を提出しており、その発効日は1月4日になっているという。
GLOBALFOUNDRIESの発表文には、インサイダー取引疑惑に言及した部分はなかった。
ルイズ氏の暫定後任者には、Broadcomの現取締役で元社長兼CEOのアラン・ラニー・ロス氏が決まっている。
モファット氏、ゴール氏、キエシ氏のほかにも、アニル・クマー氏(McKinseyのディレクター)、ラジ・ラジャラトナム氏(ヘッジファンドGalleon Managementの創業者で経営パートナー)、マーク・カーランド氏(New Castleの上級マネージングディレクター兼ゼネラルパートナー)が今回の事件で起訴された。
また、GalleonとNew Castleの両社の名前も訴状に記載されている。
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