見事な“鎮火”はなぜ可能だったのか UCCの事例から考えるTwitterマーケティング(3/3 ページ)
Twitterマーケティングの炎上事例を題材にした勉強会をUCCが開いた。BOTを使ったキャンペーンのあり方や、人手で更新するアカウントの難しさなどについて議論が行われた。
「Twitterは現場に権限を委譲しないとうまくいかないが、炎上したときに誰が責任を取るというのは難しい問題だ」と内山さんは指摘。ソフトバンクの孫正義社長のように、会社の権限を掌握している代表が個人としてTwitterを始めるのも1つの解決策だと、複数のTwitterアカウントを運用しているアルカーナの原田和英社長は話す。
“人間らしいTwitterアカウント”の難しさ
Twitterマーケティングで成功している企業は、担当者が1人張り付き、フォロワーと1日中交流しているケースが多い。上島珈琲なうのほか、「加ト吉」ブランドのテーブルマーク(@katokichicoltd)、NHK広報局(@NHK_PR)などのアカウントは、つぶやきの“ユルさ”や誠実な対応で人気だ(参考:元気がいいTwitterの軟式企業アカウント:NAVERまとめ)。
だが、担当者が張り付いて運用するアカウントは、フォロワーが増えるほど対応が難しくなる。「大企業であればあるほどフォロワーに話しかけられ、Twitter担当1人でサポートセンターをやるような世界になりかねない。大企業の担当者は本来は、自分の権限ではそれほどリアクションできない」と徳力さんは指摘する。
日経ネットマーケティングの杉本昭彦副編集長も「朝から晩までレスを返すのはなかなかできることではなく、加ト吉さんはすごい」と同意。「Twitterマーケティングの成功事例は、担当者のキャラが面白く、フォロワーとの会話がうまくいっている場合が多い。告知だけのアカウントだと許されない空気感は恐怖だ」(徳力さん)という意見も挙がった。
企業のTwitter利用の相談に乗っているCGMマーケティングの佐々木智也COOは、「プロフィールに『リプライには回答できない場合があります』などと書き、徐々にやっていくという手段もある」と話す。
それでもTwitterを使ってほしい
「これだけの騒動になったが、裏を返すとTwitterにはそれだけのパワーがあるということ」――企業のTwitter活用にはさまざまな可能性があると坂本さんは話し、UCCも「もう一度チャレンジしていきたい」という。
企業にとってのTwitterの魅力の1つは、「情報をプッシュする力」だと杉本さんは指摘する。「フォローしてもらえればプッシュでき、メールマガジンに近い特徴がある。タイムセールなど時間限定の瞬発力もある。どう生かすかという意識しながら使えば可能性あるのでは」
最低限、アカウントは持っておくべきと徳力さんは話す。「アカウントを持って自社サイトの更新情報ぐらい流しておけばいいと思う。でないとTwitter上で話題にすらしてもらえない」
炎上を恐れて及び腰になる企業もあるが、宇佐見さんは「Twitterの炎上は、2ちゃんねるでの炎上に比べると消火しやすく、プチ炎上があっても誠実に対応すれば解消する」と、自らの経験を振り返る。
「失敗を恐れて事前に準備するよりは、問題が起きても対応すればいいというぐらいの気持ちでやったほうがいいのでは。ユーザーの不満に対してリアルタイムに対応すると、モヤモヤはかなり解消できる部分がある。ネガティブにとらえるよりは、それを使って何ができるかというポジティブさが重要では」(宇佐見さん)
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