電話を使った「セキュリティ診断」詐欺が横行、Microsoftが注意呼び掛け
現時点でこの手口は英語圏を中心に横行しているが、ほかの言語にも広がるのは時間の問題だとMicrosoftは予想する。
大手企業の名をかたって電話をかけ、「セキュリティに問題がある」と脅してコンピュータを操作させ、金銭をだまし取る手口が横行しているという。米Microsoftが被害実態に関する調査結果を公表して注意を呼び掛けた。
同社によると、この手口ではセキュリティ技術者を装って電話をかけ、コンピュータが危険にさらされていると称して無料のセキュリティ診断を持ち掛ける。電話帳で調べた被害者の名前で呼び掛けてくることや、大手企業の名を出してくることからだまされやすく、平均で875ドルの被害が出ているという。
英国、アイルランド、米国、カナダで7000人を対象に同社が実施した調査では、こうした手口の詐欺電話を受けたことがあるという回答者が4カ国の平均で15%に上り、アイルランドでは26%に達した。
詐欺電話を受けた人のうち、22%(回答者全体の3%)はだまされて相手の指示に従い、コンピュータへのリモートアクセスを許したり、不正なソフトをダウンロードしたり、クレジットカード情報を教えてしまったりしたという。
だまされた被害者の79%は金銭被害を被ったと回答。具体的には、「口座から金銭を引き出された」(17%)、「パスワードを盗まれた」(19%)、「なりすましの被害に遭った」(17%)などのほか、53%がコンピュータ障害に見舞われていた。
盗まれた金額は82〜1560ドルに上り、平均875ドルだった。さらに、コンピュータの復旧などに平均1730ドルがかかり、米国ではこの金額は4800ドルに跳ね上がった。
現時点でこの手口は英語圏を中心に横行しているが、ほかの言語にも広がるのは時間の問題だとMicrosoftは予想。「たとえ相手が大手企業を名乗っても、一方的に電話をかけてきた相手にクレジットカードなどの情報を教えたり、指示に従ってWebサイトを閲覧したり、コンピュータを操作したりしてはいけない」と注意を促している。
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