2010年の国内HPC市場はほぼ半減、11年はさらに縮小――IDC Japan調査
IDC Japanによると、2010年の国内HPC(High Performance Computing)市場は前年比でほぼ半減。11年はさらに縮小するという。
IDC Japanは6月20日、国内HPC(High Performance Computing)市場における分析と予測を発表した。2010年の同市場の規模は09年の410億円から48.5%減の211億円にとどまった。11年は204億円と、さらに縮小すると予測している。
IDC Japanの林一彦サーバーリサーチマネージャーは、「2011年の国内HPC市場は、東日本大震災による直接的なダメージと、電力不足による景況悪化の影響により減少するとみている。また、x86サーバの性能向上によって、HPCのシステム価格は減少傾向にある。サーバベンダーは、x86サーバのクラスタ技術を生かした新たなアプリケーションの開発を促進する必要性があるだろう」としている。
10年のHPC市場の大幅縮小は、前年に「地球シミュレータ」の改修という超大型案件があったことによる反動減もあるという。地球シミュレータはNEC製のスーパーコンピュータがベースマシンで、09年に約186億円を投じてベースマシンを総更新している。
一方、2500万円以下のHPCシステム市場は「前年比プラス10%前後の堅調な成長」をしたという。大学や研究機関などの「学術系HPC」の需要が減少した反面、製造業や金融業向けの「産業系HPC」の需要が戻ったという。
2010〜2015年の国内HPC市場の年平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)はプラス1.4%の成長を見込んでいる。
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