「値下げを決断できた理由は、ゲームキューブの教訓」 3DSハードは逆ざやで赤字に
任天堂の岩田社長が「ニンテンドー3DS」の大幅な値下げについて説明。ハード販売が赤字になる「逆ざや」を覚悟し、「短期の収益に影響が及んだとしても最大限の手を今打つべき」という。
「値下げを決断できた理由は、ゲームキューブの教訓でしょうか」──任天堂の岩田社長はこのほど、「ニンテンドー3DS」の大幅な値下げについて説明した。量産効果が十分に出ていない、発売間もない時期の大幅値下げの結果、ハード販売が赤字になる「逆ざや」状態になるが、「短期の収益に影響が及んだとしても、最大限の手を今打つべきだと判断した」という。
任天堂は携帯ゲーム機「ニンテンドー3DS」を1万円値下げし、1万5000円で8月11日から販売する。発売から半年足らずでの大幅な値下げは異例だ。
「3DSの発売前・直後と現時点では状況が大きく異なっている。ゲームプラットフォームのビジネスでは勢いが非常に重要だが、一度勢いが落ちてしまうとその流れを変えるためには大きな力が必要になる」──岩田社長は4〜6月期の決算説明会でこう話した。
8月という時期に値下げするのは(1)有力ソフト効果で年末商戦を爆発的に盛り上げるためには、早くからハードを普及させておく必要がある、(2)小売店、ゲームメーカーの普及に対する懸念を早期に払拭しておく必要があるためだと説明。先行きに不安を感じていたゲームメーカーからは「大変安心した」「これで間違いなくいけますね」といった反響があったといい、米国の大手小売りが「クリスマスが来たようだ」と述べていたことも挙げ、サードパーティ、小売りとも値下げをポジティブに受け止めていることを強調した。
早期の大幅値下げを決断できた理由として「ゲームキューブの教訓」を挙げる。「現経営陣は全員、『ゲームキューブの時にチャンスがあったのに、それを活かせなかった』という体験をしてきた」ことが大きいという。現預金だけで約8000億円(6月末)を保有する財務体質の強さも、こういったに事態に思い切った策を講じうる選択肢を確保するためだという。
ただ、「最初にニンテンドー3DSを真っ先に応援してくださったお客様の信頼を損ねてしまいかねないという事実」を認め、「自分自身の責任は非常に重い」としている。来年度に計画する「Wii U」発売に影響が出るおそれもあるが、「Wii U発売の時までにわたしたちの信頼を取り戻せる活動をどれだけできるのかということがすごく大きいと思っている」という。
任天堂の不振の原因としてスマートフォンの影響が指摘されることがある。同社はスマートフォンやソーシャルゲームの影響について繰り返し調べているが、「これまでと同じように、因果となるものは確認されなかった」という。
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