【記者の7つ道具】オリンパスショックは取材カメラ選びに影響するか?(2/2 ページ)
ケータイからスマホというトレンドや、モバイルブロードバンドの実用化などが「記者の7つ道具」にも変化を与えていそうだ。リレー連載となる本企画の初回は、ITmedia エンタープライズ編集部の石森将文がお届けする。
道具6 Eye-Fi
ICレコーダーの項でも触れたが、データの転送というのは面倒なものだ。恥ずかしながら「カードリーダーを忘れてデジカメの画像を取り込めない……!」という失態も一度ならずある。そのたびにカードリーダーを買うので、自宅やオフィスにはカードリーダーが増殖してしまった。
これに歯止めをかけてくれそうなのがEye-Fiである。これはWi-Fiによるデータ転送機能を持つSDカードであり、カード自体がSSIDを吐くので、ペアリングしたPCやスマホにデータを直接取り込める。正直な話、今年一番「便利な世の中になったな」と感じさせてくれた製品はEye-Fiカードかもしれない。
特にスマートフォンとのペアリング機能は面白い。FacebookやTwitterに写真をアップする時に、多くの人はスマートフォン内蔵のカメラを使うと思うが、画質に満足できないこともある。でもデジカメにEye-Fiカードを入れておけば、デジカメで撮った綺麗な写真をその場でソーシャルメディアに公開できるのだ。こちらの記事などを参考に、読者諸氏も検討してみてほしい。
道具7 オリンパスのデジタルカメラ「E-P3」
記者の場合、このところミラーレスと言われ注目を集めているレンズ交換式カメラの「E-P3」を使っている。
今どきのデジカメには一定の法則があると思っている。それは「同世代機であれば、大きいカメラ、重いレンズのほうが高性能」というものだ。
ただし誰にでも大きなカメラが適するわけではない。仕事で使う以上、あまり大きなカメラだと取り回しに困ることもある。また記者自身が撮る写真の場合、奇麗であるのに越したことはないが、かといって究極の画質が必要なわけでもない。記者自身の用途にちょうど良いバランス(画質と可搬性)を実現してくれるのは、E-P3をはじめ「フォーサーズ」と言われる撮像素子(銀塩カメラのフイルムに例えられる)を採用したシステムだと思っている。
フォーサーズ素子はざっくり言うと、コンデジとフルサイズの中間に位置するサイズである。そのためコンデジよりも綺麗な写真を撮れ、またフルサイズのカメラよりもボディやレンズが小さい。ミラーレスカメラのレンズ同士でも、APS-C素子を使うソニーEマウントの「E18-200mm F3.5-6.3」が524グラムあるのに対し、同じ画各をカバーするオリンパスの「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6」は290グラムである。この差は決して小さくない。
もちろん不満点もある。「従来機種では十字ボタンでダイレクトに測距点を選択できたのにE-P3ではできない」とか「有機EL液晶の見え方(特にシャドー部分)が不自然」とか「PCとの接続ケーブルが特殊なUSBケーブル」とか……後者はまだしも、前者はファームアップで何とかしてほしい。これまではできていたことなのだから。
とはいえ、がさつな記者にとっては、レンズ交換式カメラで問題になりがちな「撮像素子のゴミ問題」をSSWF(超音波防塵フィルター)で解決してくれているのは魅力だ。実際、屋外でひんぱんにレンズを交換しても、ゴミに悩まされたことはない。また無理な姿勢で撮影しなければいけないことも多く、その場合はすべての装着レンズに効果があるボディ内手ブレ補正の効果を感じる。
ところでウッドフォード元社長の解任劇に端を発し、その後の“損失隠し”発覚にいたるオリンパス騒動は、いまだ解決の糸口を見せていない。製品が良いからといって企業の責任が減免されることなどあってはならないが、問題が発覚したからと言って現行製品の価値が劣化するわけでもない。オリンパスをめぐる状況は複雑さを増してはいるが、ここは記者自身が良い・悪いと思って使っているポイントについて、正直に書いてみた。オリンパスショックが取材用のカメラ選びに影響するかについて、記者個人においては今のところ「影響なし」という結論としたい。
※来週は、2011年度新卒入社の本宮学記者から7つ道具をご紹介します。お楽しみに!
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