Googleのラリー・ペイジCEOが所信表明――邪悪にならずとも収益は可能
Googleのラリー・ペイジ氏が、CEO就任1年目の所信表明を発表した。個人情報のサービス横断統合のメリットやGoogle+の存在意義などを説明している。
米Googleのラリー・ペイジCEOは4月5日(現地時間)、CEO就任1周年に当たっての所信を3500ワードに上る文書で表明した。
具体的な新サービスの発表などはなく、おおよその趣旨は「Googleは一貫してユーザーを第一に、世界を良くしていくことを目指している。企業は邪悪にならなくても収益を上げることはできる」ので信じてほしいというものだ。
表明は9つのパート――概要、Google+について、パーソナライズされた次世代検索について、検索強化の取り組みについて、Androidについて、長期戦略について、“愛と信頼”について、人材について、挑戦し続ける社風について――で構成されている。
Google+について
ペイジ氏はGoogle+を、ソーシャルネットワークサービスではなく、Googleのすべてのサービスを結び付け、利用しやすくするための「ソーシャルレイヤー」と位置付ける。既に120以上のGoogleの機能がGoogle+に統合されており、その結果1億人以上のアクティブユーザーがGoogle検索で見つけた結果を共有したり、Android端末でビデオチャットを楽しんだりできるようになったという。
パーソナライズされた次世代検索について
次世代検索では、Google+のプロフィールやサークルを含む個人情報をユーザーの検索結果に反映させることで、従来よりそのユーザーにとって確度の高い結果を提供できるようになるという。ペイジ氏はその1例として、「ベン・スミス」のようなよくある氏名を検索すると、検索結果にプロフィールの写真などの情報が表示され、すぐにどのベン・スミスが目的の人物かが分かると説明する。
検索強化の取り組みについて
かつては検索結果はただの「青いリンクの集合」だったが、ユーザーが本当に求めている情報を迅速に提供するためにさまざまな取り組みを行っている。例えば、一般に公開されていない情報を、多数の国のさまざまな業界の組織と提携することで、検索結果に反映させている。Google検索の結果にユーザーがいる地域のリアルタイムの天気予報を表示したり、Google Mapsで交通情報を提供するのがその例だ。ITAの買収も、そうしたサービスを強化する目的で行ったものだという(ITA買収については米司法当局が条件付きで承認した)。
Androidについて
AndroidもユーザーがGoogleのサービスをいつでもどこでも、シームレスに利用できるようにするという目的を達するための手段の1つと位置付ける。55のメーカーと300の通信キャリアが製造・販売しているAndroidは、「パートナーシップの力」の成功例だという。米Motorolaの買収ですばらしい端末を製造できるようになったことは喜ばしいが、Androidの成功にとって重要なのはエコシステム全体の繁栄だと強調する。
長期戦略について
Googleはこれまで長期的な視野で事業に投資してきたし、これからもそうする。Google立ち上げ当初、誰も検索で収益を上げられると思っていなかった。2004年にGmailを公開したときも、Webメールなどおもちゃにすぎないと思われたが、現在1日当たり5000以上のビジネスおよび教育関係者ユーザーがGmailのアカウントを取得している。(Google+や無人運転カー、Project Glassなどへの投資を擁護しているようだ。)
“愛と信頼”について
ペイジ氏は「Googleは愛される企業でありたい」という。ユーザーが個人データをGoogleに預けるのはGoogleを信頼しているからであり、Googleはそれに応える責任がある。そのためにセキュリティを強化し、ユーザーからの指摘には迅速に対応し、透明性を維持するよう努力している。また、「われわれは、邪悪にならずに金もうけができると常に信じている」と語る。関連性の高い広告を提供することは、広告主にとってだけでなく、ユーザーにとってもメリットになり、Googleはその収益でイノベーションを推進できるとしている。
人材について
人材はGoogleにとって極めて重要で、あらゆるレベルで最上の人材を採用・保持することを重視している。
挑戦し続ける社風について
Google+のハングアウト誕生や、無人運転カーでの走行20マイル突破を例に挙げ、不可能に挑戦し続ける社風を紹介。「私は人々に感銘を与える革新的な製品を生み出すことで世界を変えられると信じている。Googleにいるのはとても楽しく、私は皆さんに対して強い責任を感じている」と締めくくっている。
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