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Appleと出版大手5社を米司法省が独禁法違反の疑いで提訴
iPadで読める電子書籍を販売するiBookstoreでの価格設定をめぐる取り決めが独禁法に違反するとして米司法省がAppleと出版大手5社を提訴した。この内、MacmillanとPenguin以外は和解案に合意した。
米司法省(DOJ)は4月11日(現地時間)、米Appleと出版大手5社をニューヨーク州南部地区連邦地裁に提訴したと発表した。Appleの電子書籍ストア「iBookstore」での書籍販売価格に関する取り決めが、独禁法に違反する疑い。
対象となる出版社は、Hachette、HarperCollins、Macmillan、Penguin、Simon & Schusterの5社。この内、Hachette、HarperCollins、Simon & Schusterの3社は和解案に合意した。
Appleとこれらの出版社を含む多数の企業が2009年夏から談合して電子書籍ストアでの健全な競争を排除しようとした結果、消費者向けの書籍の価格が上昇したとDOJは主張する。
DOJは具体的には、以下の点が独禁法に抵触するとしている。
- iBookstoreで販売する書籍の価格を出版社が決める(エージェンシーモデル)
- iBookstoreで販売する書籍について30%のコミッションを支払う
- iBookstore以外の電子書籍ストアでの販売価格をiBookstoreより低くしない
- 電子書籍の価格設定に関する話し合いの中で、米Amazon.comの電子書籍販売方式を含む競合の機密情報を共有した
DOJは、30%のコミッションと販売価格に関する取り決めを出版社によるAppleに対する“最恵国待遇”としている。
3社が合意した和解案は以下の条項を含む。
- AmazonやBarnes & Nobleなどの小売業者による電子書籍の値下げを可能にする
- Appleを最恵国待遇する反競争的な契約を解除する
- 2年間は小売店による値引きを制限しない
- 5年間は競合出版社と機密情報を共有しない
- 強力な独禁法順守プログラムを作成する
米Wall Street Journalによると、この発表を受けてAmazonは「Kindle向け電子書籍でより低い価格を設定できるようになることを楽しみにしている」という勝利宣言を発表した。
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