JASRACに“無罪”審決 公取委、包括契約めぐる排除措置命令取り消し
JASRACが放送局と結ぶ、楽曲の「包括利用許諾」契約が独禁法違反に問われた事件で、JASRACに対する排除措置命令を取り消す審決。“無罪判決”となる。
日本音楽著作権協会(JASRAC)が放送局と結ぶ、楽曲の「包括利用許諾」契約が同業他社の新規参入を妨害しているとして公正取引委員会が排除措置命令を出した事件で、公正取引委員会は6月14日、命令を取り消す審決を行ったと発表した。審判は独占禁止法違反事件の裁判に当たり、命令取り消しは“無罪判決”となる。
JASRACは放送局などと包括利用許諾契約を結び、音楽著作権の使用料を、曲が利用された実数ではなく「放送事業収入の○%」といった形で包括的に算定する方法で徴収している。
公取委は2009年2月、「放送局は使用料の追加負担を嫌って他の管理事業者の楽曲を利用しないため、他事業者が放送向け管理事業を営むことが困難になっている」として、JASRACが新規参入を妨害した独禁法違反(私的独占の禁止)で排除措置命令を出し、新方法による著作権利用料の徴収を求めた。JASRACは命令を不服として審判を申し立てていた。
審決では、
(1)他の管理事業者であるイーライセンスの管理楽曲の利用を回避したと明確に認められるのは1社の放送事業者にすぎず、放送事業者が一般的にイーライセンス管理楽曲の利用を回避したと認めることはできない。
(2)放送事業者がイーライセンス管理楽曲の利用について慎重な態度をとったことは認められるものの,その主な原因はイーライセンスが不十分な管理体制のままで放送利用向け管理事業に参入したため放送事業者が困惑・混乱したことにある。
──などとして、「JASRACの包括契約方式がイーライセンスの放送利用向け管理事業を困難にしたという主張を認めるに足りる証拠はない」「新規参入を著しく困難にすることを認めるに足りる主張立証はない」として公取委側の主張を退け、排除措置命令を取り消した。
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