ネット選挙活動解禁で何が変わるか 議員や津田大介さんら議論(2/2 ページ)
ニコニコ生放送での党首討論が実現するなど、政治とネットの距離は確実に縮まってきている。ネット選挙活動の解禁を通じ、人々の生活と政治はどう変わるのか。与野党議員や津田大介さんらが議論した。
議員の世代交代「起きつつある」
そもそも、なぜネットを使った選挙活動に消極的な議員が多いのか。楽天などのネット企業が参加する「新経済連盟」で事務局長を務める関聡司氏は「ネットは国民の多くが使っているものなので、それを特別扱いしてどうこう言うのは非常に違和感がある」と話す。
政治家が懸念するポイントの1つは「炎上」だ。津田さんが「議員のネットリテラシーが低いために炎上などの問題が起きるのでは」と問うと、平氏は「議員のネットリテラシーはめちゃくちゃ低い」と同意する。「iPodで音楽を聴いていたら『それはどこからカセットを入れるのか』と聞かれたこともある。それくらいリテラシーが低い」(平氏)
一方で平氏は「議員の世代交代も起きつつある」という。「今は“剣術の時代”から“鉄砲の時代”に変わろうとしている。われわれの世代はネットを活用しなければと思っているが、上の世代は『若い世代に新たな武器を与えたくない』と考えている。今はなんとなくネットを解禁できていない状況だが、勢いのある時に一気に変える必要がある」(平氏)
藤末議員も「ネット選挙活動が普及すれば、これまでの地盤・看板など、古いルールで戦ってきた旧来型の議員は不利になる」と応じる。一方、鈴木客員教授は「ネットは若い世代のものと言われるが、本当にそうだろうか」と疑問を示す。「今、団塊世代の人などと会うと皆さんネットをやっている。こうした世代にネットを売り込んでいくのはどうか」(鈴木客員教授)
「ネット選挙に反対する人の本音は、政策的な議論に耐えられないということなのでは」と宮台教授は持論を述べる。「ネットでは、政策を通じてバトルしないといけないところにシフトしていく」「(ネット選挙活動に反対する人は)従来は政策の議論に耐えられたのかもしれないが、ネット上で行われている高度な議論には対応できないのではないか」(宮台教授)
「有権者の皆さんに発信してほしい」
元プロ陸上選手でR.projectの取締役を務める為末大さんも登場。「わたしは人当りがよいほうで、おばちゃんなどに人気がある。でも、ネット上だとなんとなく“つんけん”してしまって、自分の強みが発揮できない。だから自分のような人は、ネット選挙活動では不利になるかもしれない」(為末さん)
11月には自民党の安倍晋三総裁が民主党代表の野田佳彦首相に「ニコニコ生放送」での党首討論を提案し、野田首相もこれに応じるなど「ここ1〜2カ月で政治とネットの距離が急速に縮まっている」と津田さんは話す。「党首がニコ生での党首討論を提案するというのは大きな変化」
ネット選挙活動に消極的な“旧来型の候補者”から世代交代を進めるために何をすべきか――という会場の質問に対し、平氏は「われわれは衆院選の公示後に規制がかかってネットで発信できなくなるので、こうしたキャンペーンを通じて有権者の皆さんに発信してもらい、どんどんネットで広げてほしい」と期待を寄せる。
一方、宮台教授は「ネット選挙活動をしてはいけないというのは単なる総務省の見解なので、(法改正を待たず)どんどんやってしまえばいいのではと思う」と持論を述べる。「とはいえ、それはできないという候補者も多い。皆さんはそういう人に代わって各候補者の政策の妥当性などをネット上で発信し、反対する人と議論をしてほしい」(宮台教授)
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