「同人マーク」運用始まる 赤松健さんの新連載から ライセンス1.0とFAQも正式公開
漫画家などが自分の作品を基にした2次創作同人誌の即売会での配布を認める「同人マーク」の運用が赤松健さんの新連載で始まった。
漫画家などが自ら、自分の作品を基にした2次創作同人誌の即売会での配布を認める「同人マーク」の運用が始まった。週刊少年マガジン(講談社)の8月28日発売号でスタートした赤松健さんの新連載にマークがプリントされている。
クリエイティブ・コモンズ・ジャパン(CCJP)の活動母体・コモンスフィアは、「同人マーク・ライセンス 1.0」を公表。同人マークによる利用許諾について詳細を定めている。
赤松さんの新連載は「UQ HOLDER!」。巻頭カラーの見開き左下の作品タイトル近くに同人マークが入っている。巻末のひとことでは「タイトル左下にある『同人マーク』についてはhttp://commonsphere.jp/を参照して下さいませ」と紹介している。
同人マークは、作者が自分の作品について、ファンが2次創作同人誌を作成して同人誌即売会で配布することを認める意思表示をするためのマーク。環太平洋経済連携協定(TPP)への日本の参加で著作権侵害が非親告罪化される可能性が出てきている中、「警察の萎縮効果を狙う」と赤松さんが提案し、デザインは公募で決まった。
マークを提供するコモンスフィアがライセンス 1.0と同時に公開したFAQでは、「(著作権侵害が)非親告罪化した場合でも二次創作同人誌をより安心してつくることができます」といったマークの趣旨や、同人誌制作の際には審査や登録などは不要で、コモンスフィアは同人誌の内容に関与しないこと──などを説明している。
同人マークは、2次創作同人誌の同人誌即売会での有償・無償による配布を明示的に認めるものであり、「ライセンスに記載されていない範囲についての作者の意思を表示する効果はありません」(FAQのB-01)。つまり即売会以外(委託書店など)での配布やデジタルデータ・ネット配信などについては、このマーク自体では禁止も許諾もしていないことになる。
FAQでは「何も意思表示していない場合の2次創作については、従来と変わることはありません」(同)としており、同人マークによる許諾の範囲外での2次創作と配布については、現状と同様に同人誌制作者が判断することになる。ただ、オリジナル作者がマークと一緒に「デジタル同人OK、同人ショップ販売OK」などと追加で意思表示することは可能になっている。
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