世界に羽ばたく「ツイキャス」、“ステージ”ではなく“インフラ”に 1000万ユーザーの先へ(2/2 ページ)
ライブ動画配信アプリ「ツイキャス」のユーザー数が545万人を超えた。次の目標は1000万人――ではなく「その先」。海外展開も含めた今後の展開を聞いた。
「人生が変わりました」――ツイキャスで夢に近づく
中高生が日常的に使うコミュニケーションツールとして普及する中で、ツイキャスでの活躍を夢の実現につなげる人も出てきた。配信によって同世代の間で人気を集めた高校生・松本鈴香(れぴぽちゃ)さんはTwitterのフォロワー数が5万3000人を超え、複数のファッション誌でモデルとして活躍している。
山形県在住のシンガーソングライター・ツユリサナさんは3年以上前からツイキャスを利用してライブなどを配信。口コミでじわじわとファンを増やし、昨年12月にはミニアルバムの発売に至った。ツユリさんからCDと共に運営チームに届いた手紙には「地方に住む私がここまでこられたのはツイキャスのおかげ、人生が変わりました」などの感謝の言葉がつづられている。
自ら発信するだけでなく、魅力ある配信者を「育てる」ことに熱心なユーザーも多いようだ。トップページに「新着」キャスを紹介するタブを設置したところ、予想以上に閲覧数が多く「玄人にウケている」(赤松社長)という。ライブ配信で人気を集めるために重要なのは、本人の見た目や特技以上に視聴者とのやりとり。初心者に各機能の使い方など基本的なことを教えたり、トークの話題の誘導、ネタ振りなどで配信者のよさを引き出すことに楽しさを感じているユーザーも多いらしい。「面白いものを見たいというより、一緒に成長する参加意識が強い。その後Twitterにシームレスにつながるので関係が続きやすく、コメントもポジティブなものが多い」(赤松社長)
“ステージ”よりもインフラに
赤松社長は、ツイキャスで人気を集めて新しいフィールドで活躍するユーザーが出てきていることを「本当にうれしいこと、好きな配信者を積極的に応援するカルチャーができている」と話す一方で、サービスとしては「特技やネタを披露する“ステージ”というより、広く一般的なインフラとして育てていきたい、身近な人と楽しんでもらいたい」という。
リリースしたばかりの「コラボキャス」は、最大4人まで招待し、複数人の映像と音声を1つの動画でまとめられる機能だ。ユーザー同士の会話をオープンに配信できるのはもちろん、親しい友人同士の会話を映像と共に丸ごと録画、保存することもできる。
「コラボCAS」はもともと、ツイキャス以外の音声やビデオ通話のサービスを利用し、複数ユーザーの会話を1つのライブ配信にまとめる形としてユーザー間で自主的に発生していた単語。ユーザー間のやりとりに頻出していたこと、「やり方を教えてください」という問い合わせも多かったことなどから、公式に実装することを決めたという。
「やっぱり、1人でしゃべって時間持たせるのって大変だし緊張するじゃないですか。友達同士でしゃべる方が気軽かなって。自分で配信もやってみたいけどなかなか勇気が出ない、という人を後押しできれば」(赤松社長)
次の目標はユーザー数1000万人――かと思いきや「このペースで成長すれば遠くないうちに超えるので、その先」と見据える先は遠い。昨年5月に6480万円の増資を受けた後、11月にも追加で1億2000万円を調達。増資は国内外での人材採用とインフラ投資にあてていく。海外ユーザーの比率を上げることを重視しつつ、粛々とモバイルのトラフィックが中心となるインフラ強化を進めていく。
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