タモリの魅力に膨大なエピソードで迫る「タモリ学」 テレビの顔でありながらネットでも愛される理由(3/3 ページ)
数々の発言やインタビューから膨大なエピソードを参照し、タモリさんの魅力に迫る本「タモリ学 タモリにとって『タモリ』とは何か?」が発売される。テレビタレントでありながらネットでも広く愛される理由を、著者の戸部田さんに聞いた。
タモリさんを語ることが「自分語り」に
――「笑っていいとも!」はテレビ文化の中でどのような存在だったのか。
「楽しくなければテレビ(お昼)じゃない」というキャッチフレーズそのもので、まさに情報とか役に立つものがまったくない「楽しいだけ」の番組でした。いまや情報がなければ視聴率が見込めないテレビ界において貴重な存在だったと思います。
よく「昼のタモリと夜のタモリは違う」と言われますけど、僕は少なくともテレビにおいての発言はそこまで変わらないと思っています。趣味人として博学なタモリさんの側面は「タモリ倶楽部」や「ブラタモリ」だけじゃなく「いいとも」でも顔を出していて、振る舞いが違うように見えるのは企画のせいだと思います。自分が興味ないものには隠さず興味がない振る舞いをするので「いいとも」ではそれが目立つのではないでしょうか。
――「テレビとネット」は二項対立として論じられることも多い。
テレビとネットをお互い敵対するものとするのはナンセンスだと思ってます。ネットは新たな「お茶の間」「井戸端」を作り出し、テレビを“みんなで見る”という楽しさを蘇らせました。
タモリさんが「テレビの顔」でありながら、ネットユーザーにも広く愛されているのは、「語られる存在」としての面白さがあるからだと思います。
ほぼ毎日のようにテレビに出続けさまざまな側面を見せているタモリさんは、「お昼の顔」であり「マニアックな知識人」であり、人によってとらえ方が異なっています。「タモリさんをどうとらえているか」「どんな部分が好きか」を聞いていると、その人の物の見方や価値観が分かる気がしませんか。タモリさんを媒介に、自分語りが自然とできるのは魅力の1つだと思います。
――最後に、タモリさんを一言で表すなら。
「今を生きる人」です。反省しない、目標を持たないことが有名ですが、未来にも過去にも、「自分らしさ」などの観念にも執着しない人です。 そして、「今」を楽しむ。一見冷めてそうで、目の前のゲームに夢中になって負けず嫌いな面を見せることもあります。
タモリさんは「テレビは『今』の状況を映すメディア」と言っていますが、そう考えると刻一刻と表情を変え、瞬間を楽しみ続けるタモリさん自身が「テレビ」を具現化したような存在かもしれません。
関連記事
- 総字数5万字超え「大タモリ年表」公開 第1弾は誕生〜サラリーマン時代
タモリさんの半生に詳細なエピソードで迫る「大タモリ年表」がWeb文芸誌「マトグロッソ」で公開された。 - 「笑っていいとも!」終了にPC-9801を思い出す
「笑っていいとも!」と同時に産声を上げたパソコンがあった。 - 「Gは『大地に立つ』の大地のG」「この年でよくやったなとうぬぼれ」 富野監督「Gのレコンギスタ」語る
「G」の意味は? 「レコンキスタ」ではなく「レコンギスタ」になった理由は? 富野監督が「機動戦士ガンダム35周年プロジェクト」発表会で語った。 - 浅田真央選手の軌跡を描く朝日新聞デジタル「ラストダンス」ができるまで 新聞社にしかできないコンテンツ目指して
ソチ五輪・フィギュアスケート女子の試合終了直後、朝日新聞社のサイトに掲載された特設コンテンツ「浅田真央 ラストダンス」。浅田選手の言葉や歩みとともに、五輪での圧巻の演技を振り返る、ニュース性とデザイン性の高いコンテンツはSNSを中心に一気に拡散した。「新聞社にしかできないWebコンテンツを目指して」――制作の裏側を聞いた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.