「お前はもう死んでいる」「坊やだからさ」――学術書なのにアニメネタ満載「実証分析入門」 その意図は?(2/2 ページ)
「お前はもう死んでいる」「坊やだからさ」――「実証分析入門」の目次がアニメネタ満載だと話題になっている。堅いテーマを扱った専門書なのになぜ、こんな目次を採用したのか。著者に聞いた。
実は連載時、サブタイトルとメインタイトルは順番が逆だったという。「ベイジアンは滅びぬ、何度でもよみがえるさ!:ベイズ統計」「なんでもは知らないわよ、知ってることだけ:LATEと構造推定」――といった調子。書籍化する際、編集者に「メインタイトルとサブタイトルを逆にしてください」と言われ、逆にしたという。
「まど☆マギは半分、教養」 研究者仲間からガンダムネタにツッコミも
1974年生まれの森田さんは、北斗の拳やガンダムなどアニメに親しんで育ってきた世代だ。最近はあまり観ていないというが、「まど☆マギは半分、教養です。ネットで話題になっているし、学生が食いついてくれるかなと。最近では『風立ちぬ』や『坂道のアポロン』は良かった」と話す。
一緒に研究している仲間にもガンダム好きが多いという。「掲載前の草稿をチェックしてもらうために仲間に回すと、『ガンダムネタを使うなら、タイトルはこう変えたほうがいい』とアドバイスしてくれました。中身にも突っ込んでほしいのに、タイトルだけ……」
“遊んだ”論文、海外では普通
森田さんによると、映画や歌などのネタを絡めた論文は、米国など海外ではよく見るという。例えば、ビートルズの楽曲「All You Need Is Love」の「LOVE」の部分だけを論文テーマに絡めた単語に変える――などだ。
森田さんと友人は、日本では珍しいという“遊んだ”論文を発表してきたという。森田さんは、「ドラえもん」のジャイアンのセリフ「おまえのものはおれのもの」を使った民法の論文を書いたこともあるそうだ。
「例えば先日、ゆうパックの遅配で、荷物のクワガタが全滅したというニュースがあった。郵便局の法的な責任を考える論文のタイトルは、映画『Lost in Translation』のタイトルをもじって『Lost in Transportation』にできる」(森田さん)
「ネットで話題」は想定外
同書の目次はネットで話題になり、「ひどいタイトル」と紹介されたこともある。「雑誌掲載時から、雑誌のサイトでタイトルが公表されていたので、書籍になって話題になるとは全く想定していませんでした。炎上って、こういうふうなんだなと身をもって知る、興味深い体験でした。“ひどいタイトル”は、ほめことばだとは思いますが……」
大学生向けの専門書ながら、予約受け付けをスタートしたAmazon.co.jpでは、ベストセラーランキング100位以内をキープし、編集者も驚いているという。社会科学全般の副読本として、大学生や大学院生向けに販売していく。
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