「理研CDB解体を」――STAP問題で改革委が提言 小保方氏の採用経緯は「信じがたいずさんさ」
「STAP細胞」の論文不正問題を受け、理研の改革委提言書を公表した。小保方氏の採用経緯のずさんさなどを明らかにした上で、理研CDBの解体を提言している。
「STAP細胞」の論文不正問題を受け、外部有識者で構成する理化学研究所の改革委員会が6月12日、32ページにわたる提言書を公表した(提言書PDF)。小保方晴子氏の採用の経緯は、「信じがたいずさんさ」だったと指摘。小保方氏が所属する理研CDB(発生・再生科学総合研究センター)のトップ層全体に「弛緩したガバナンスの問題」があるとし、CDBの解体を提言している。
提言書では、小保方氏の採用プロセスが「にわかに信じがたいずさんさ」だったと批判。過去の論文や応募書類の精査もなく、英語によるセミナーも省略するなど必要なプロセスをことごとく省略する「異例づくめのもの」で、採用に関わった理研CDBトップの責任は「極めて重い」としている。採用を急いだ背景には、「採用によってiPS細胞研究を凌駕する画期的な成果を獲得したいとの強い動機」があったとみる。
竹市雅俊センター長や笹井芳樹理研副センター長について、小保方氏が研究者として未熟と知りながらデータ管理などで必要な指導を行わなかったと指摘。論文作成時にも生データの検討を行わず、また、研究内容を秘密にするため小保方氏を囲い込み、ほかの研究者を交えた議論も行わなかったことが、研究不正につながったとする。
その背景として、笹井氏がCDBの予算要求を担当していたことを挙げ、「STAP研究は、そのインパクトの大きさから、巨額な予算の獲得につながる研究と期待された可能性があり、笹井氏もそのような期待の下に行動した」と提言書では推測している。
理研は論文への新たな疑義について、検証を行わずに幕引きを急ぐなど、「トップ層が研究不正行為の背景や原因の詳細な解明に及び腰と疑わざるを得ない」と指摘。現在行われている検証実験は、科学者コミュニティーから不備を指摘されながら、疑問に向き合っていないと批判する。
CDB解体を提言
提言書では、小保方氏だけでなく笹井氏、竹市センター長などの責任を問い、相応の厳しい処分をすること、コンプライアンス担当理事、研究担当理事を交代することを求めている。
検証実験は、小保方氏自身が行い、同一空間で並行して小保方氏と同じプロトコルに沿って別の研究者が行うことで、「STAP現象があり、小保方チームはこれを完成していた」かどうかを検証できる体制にすること、さまざまな疑義が浮かんでいる第2論文についても調査すること、研究不正防止を担う理事長直轄の本部組織を新設すること――なども求めている。
また、「CDBトップ層全体の弛緩したガバナンスの問題があり、人事異動などの通常の方法では、欠陥の除去は困難と」し、CDBそのものの解体を提言。CDB解体後に新たに発生・再生科学分野を含む新組織を立ち上げる場合は、ミッションを再定義し、組織の人事を一新した上で、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)との協力するなど研究体制の再構築し、複数の外部有識者が参加する新たな運営会議によりガバナンスを行うことなどを提言している。
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