「Apple Pay」を米連邦政府が採用 サイバーセキュリティの官民連携の一環で
Appleのティム・クックCEOは米連邦政府主催のサイバーセキュリティサミットに登壇し、サイバー攻撃から国民を守るための政府の取り組みへの協力と、モバイル決済システム「Apple Pay」の連邦政府による採用について語った。
米連邦政府のバラク・オバマ大統領は2月13日(現地時間)、スタンフォード大学で開催したサイバーセキュリティに関するサミットで、サイバー攻撃に対抗するための大統領命令を発表し、企業に協力を求めた。
オバマ氏はサミットでの演説(動画を記事末に転載)で、「米国をサイバー脅威から守る方法はただ1つ、政府と民間企業が協力し、真のパートナーとして適切な情報を共有することだ」と語った。
米連邦政府は同日発表したファクトシートで、Apple、Intel、Box、SquareなどのIT企業、SymantecやIntelが参加するCyber Threat Alliance、さらにBank of America、Visa、MasterCard、AIGなどの金融・保険企業による連邦政府への協力を紹介した。
Appleは、自社のネットワークに政府の「Cybersecurity Framework」を採用し、VisaやMasterCardなどと協力して生活保護や退役軍人手当などの受給をはじめとする連邦政府の各種サービスで同社のモバイル決済システム「Apple Pay」を使えるようにする。
Appleのティム・クックCEOは同サミットで登壇(リンク先は非公式のYouTube動画)し、9月にApple Payが多数の国立公園など多数のサービスで利用できるようになることと、連邦政府の職員のカードをApple Pay対応にする計画を語った。同氏は「Apple Payは今日のカードシステムで最も安全だ」と自信を見せた。
クック氏はまた、政府との協力に当たっては、個人情報は絶対に提供しないと強調した。
米連邦政府のサイバーセキュリティの取り組みについては、2013年10月、元CIA職員のエドワード・スノーデン氏が米国家安全保障局(NSA)による個人情報収集について暴露して以来、企業やプライバシー保護団体が問題視している。
Google、Microsoft、Facebook、Twitter、Yahoo!、LinkedIn、AOLは2013年10月に世界各国の政府に対し個人情報収集を法律で制限する改革を要請するWebサイト「Reform Government Surveillance」を立ち上げており、これらの企業のCEOや会長は、今回のサミットへの参加を見送った。
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