「境界のないセカイ」問題、「経緯は作者のブログにあった通り」と樹林編集長 複雑な思いをTwitterで吐露
「僕の書いた公式コメ、そのまま載っけるわけにはいかなかったのだろうか?」――「境界のないセカイ」の連載中止を報告する公式コメントについて、樹林伸氏がTwitterで複雑な思いを吐露した。
「僕の書いた公式コメ、そのまま載っけるわけにはいかなかったのだろうか?」――ディー・エヌ・エー(DeNA)の漫画アプリ「マンガボックス」編集長の樹林伸氏は3月25日、「境界のないセカイ」(作・幾夜大黒堂)の連載中止を受け、マンガボックスが樹林編集長名で公表した公式コメントについて、Twitterで複雑な思いを吐露した。
「境界のないセカイ」の連載中止は、作者の幾夜さんが15日、自らのブログで詳しい経緯とともに報告。マンガボックスは25日、樹林編集長名で連載中止を報告するコメントを発表したが、詳しい経緯には触れていなかった。
樹林さんは、自ら用意していた公式コメントは「大幅に内容をカットされた」と報告。「事実関係をきちんと明らかにしつつ、いちおう、各方面に配慮して書いたつもりだったんだが、そういう部分はほぼ全ボツ」だったという。
コメントがそのまま出せなかったのは「それによって会社組織で働いている誰かが困るということでしょう。それは好ましくない。また、守るべき作者の方に一番の迷惑が及ぶことにもなります」と釈明。コメントに書けなかった連載終了の経緯は「作者ブログにあった通り」と説明している。
作者の幾夜さんのブログによると、連載中止の経緯は、「単行本の出版を予定していた講談社が、作品中の男女の役割の描き方について、性的マイノリティの個人・団体からのクレームを回避したい」と出版中止を決めたため。これに対し、LGBT団体「レインボー・アクション」は「作品の描写に問題はない」という声明を発表していた。
樹林さんは「大出版社にはある程度の自主規制はやむを得ない部分がありますが、慎重に検討したうえで、本当にやむを得ないケースに留めるべきであるという自戒を、この件で関係した全員が学ぶべきでしょう」とコメント。「僕やマンガボックス編集部は、幾夜大黒堂さんには、本当に力不足で申し訳なかったと思っております」と謝罪している。また、「以後この問題についてはコメントいたしません」としている。
関連記事
- 「境界のないセカイ」問題、マンガボックス編集長がコメント
「境界のないセカイ」がアプリ「マンガボックス」での連載が打ち切られ、講談社からの単行本発売が中止になったことについて、マンガボックスが樹林編集長名でコメントを発表した。 - 「境界のないセカイ」発売中止にLGBT団体がコメント「作品の描写に問題はない」
男女が性別を変えられる未来を描いた漫画作品「境界のないセカイ」の単行本発売中止に関連し、LGBT団体のレインボー・アクションが、「作品の描写に問題はない」とコメントを発表した。 - 漫画「境界のないセカイ」単行本化が白紙に 連載打ち切り 性役割に関する「表現上の問題」で
「マンガボックス」で連載中の漫画「境界のないセカイ」の単行本化が白紙となり、連載も打ち切りに。講談社が「表現上の問題がある」と単行本の発売中止を決定したため。作者は続きを書かせてくれる版元を募集している。 - 「ヤバいぐらいの手応え」 300万DLの無料漫画アプリ「マンガボックス」樹林伸編集長に聞く、ビジネスの展望と「夢」
人気原作者・樹林伸氏が編集長を務めるDeNAの漫画アプリ「マンガボックス」が快進撃を続けている。公開3カ月で300万ダウンロードを突破し、紙の人気雑誌に並ぶ読者を獲得。完全無料ながら、ビジネスの展望も明るいという。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.