米CATV最大手のComcast、2位TWCの買収を断念 当局が認可せず
米CATV最大手で高速ブロードバンド、動画サービスも擁するComcastが、昨年2月に発表していたCATV2位でやはり高速ブロードバンド、動画サービスを持つTime Warner Cable(TWC)の買収を断念したと発表した。米当局が、この買収はオンライン動画などの革新的なサービスの普及に危険をもたらすとして認可しなかったため。
米CATV最大手のComcastは4月24日(現地時間)、2位の米Time Warner Cable(TWC)の買収を断念したと発表した。米司法省と米連邦通信委員会(FCC)が両社に競争上の懸念を伝えたことを受けたものとしている。
両社は昨年2月、買収総額452億ドルのこの取引で合意したことを発表した。この買収が完了すれば、ComcastのCATV市場でのシェア(契約数)は3分の2以上になるはずだった。ただし、両社がCATVサービスを提供する地域はほぼ重ならないため、競争上の懸念はないと主張していた。
だが、両社はCATVだけではなく、ブロードバンドサービスとコンテンツ事業も持っており、司法省はこの買収がブロードバンド接続に依存するインターネットベースのサービス企業(Netflixのような動画サービスなど)を阻む「回避できない門番になるおそれがある」という懸念を表明した。TWCは動画サービスとしては全米4位、ブロードバンドサービスとしては全米3位だ。
FCCは今年2月、米国におけるオープンなインターネットを保護する「ネットの中立性(net neutrality)」のための規則を採択しており、FCCがブロードバンドサービスによるコンテンツサービスの利用制限や特別扱いを禁止できるようになっている。
FCCは発表文で「オンライン動画市場は現在成長中で、消費者に多くの選択肢を提供しつつある。ComcastによるTWCの買収は、特にオンライン動画や革新的な新サービスにとっての高速ブロードバンドの重要性の高まりにとって受け入れられない危険をもたらしただろう」と語った。
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