Microsoft、OSとハードウェア部門を「Windows and Devices Group」に統合 エロップ氏は退社
Microsoftは、“サービスとしてのWindows”を推進する目的で、これまで2つに分かれていたWindows部門とハードウェア部門を「Windows and Devices Group」にまとめる。同グループはテリー・マイヤーソン氏が統括し、Nokia買収でMicrosoftに返り咲いたスティーブン・エロップ氏は退社する。
米Microsoftのサティア・ナデラCEOは6月17日(現地時間)、従業員宛の公開書簡で大規模な組織改編を発表した。7月からの新年度に向けて“モバイル第一、クラウド第一の最高レベルのサービス&プラットフォームを構築する”ために、組織を3つの部門に再編するという。新組織は同日付けで始動する。
まず、これまでWindowsおよびWindows Phoneを統括してきた「Operating Systems Group」と、スマートフォンのLumiaやタブレットのSurfaceシリーズなどの「Microsoft Devices Group」を統合し、「Windows and Devices Group」(WDG)とする。
このグループは、「Windowsのエコシステムを躍進させ」、「あらゆる種類のデバイスにわたる“サービスとしてのWindows”」を促進していく。“あらゆる種類のデバイス”には、Surface、HoloLens、Lumia、Surface Hub、Band、Xboxが含まれる。
7月29日にリリース予定の次期OS「Windows 10」は、PCからIoTまで、様々な種類の端末で稼働する。
Microsoft Devices Group担当上級副社長のスティーブン・エロップ氏は同日付で退社し、新グループの責任者にはOperating Systems Group担当上級副社長のテリー・マイヤーソン氏が就任する。
エロップ氏についてナデラCEOは「スティーブンと私は、今回の再編は彼がMicrosoftからリタイアするのに適切なタイミングだという意見で一致した」と書いた。エロップ氏は2010年にMicrosoftの幹部からフィンランドNokiaのCEOに就任し、2014年のMicrosoftのNokia買収でMicrosoftに戻り、同社のハードウェア部門統括責任者を務めてきた。Nokia買収で獲得したスマートフォンのLumiaは赤字が続いている。
エンタープライズ部門は「Cloud and Enterprise Group」(C+E)にこれまで別部門Business Solutionsグループで扱ってきたDynamics製品を統合する。責任者は従来通りスコット・ガスリー氏。Business Solutions担当のキリル・タタリノフ上級副社長は退社する。
アプリケーション部門「Applications and Services Group」(ASG)は従来通りチー・リュー氏が率いる。同部門にはEducationが統合される。
この改変にともない、エロップ氏だけでなく、25年以上のベテラン、Advanced Strategy担当上級副社長のエリック・ラダー氏、Googleを攻撃する広告戦略を推進してきたマーク・ペンCSO(最高戦略責任者)も退社する。
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