エプソン、業務用スマートヘッドセット「MOVERIO Pro」 工場や作業現場での利用に特化
シースルーレンズを通して、視界を遮らず画像や映像を表示できる業務用スマートヘッドセットをエプソンが発売する。工場や作業現場での長時間利用に特化する。
セイコーエプソンは6月23日、眼鏡のレンズを通して視界をさえぎらずに情報を表示できる業務用スマートヘッドセット「MOVERIO Pro BT-2000」を9月に発売すると発表した。直販サイトでの価格は約36万円の予定。
これまでコンシューマー向けに発表してきたスマートグラス「MOVERIO」の業務用。製造業や流通の作業現場での利用を見込み、長時間利用に特化し、眼鏡ではなくヘッドセットとして頭全体を支える構造を取る。
シースルーレンズを通して、画像や映像、文字などを前方に表示する。表示サイズは4メートル先に64インチ相当になるという。機械のマニュアルや地図情報を表示したり、作業者の視界を映像として遠隔地に送って音声や画像で指示を受けたり、視界をさえぎらずハンズフリーで作業できるのが特徴だ。
昨年6月に発売したコンシューマー向けモデル「BT-200」を使った調査や実証実験を踏まえ、工場や作業現場での作業しやすさを主眼に改良を加えた。額部分に500万画素のカメラを2つ備え、深度や対象物の位置関係を測定できるようになったほか、同社独自の高精度センサー「IMU」を搭載し、作業者の姿勢や動き、位置、移動ログを正確に測定する。
屋外の作業でも見やすいよう、画面の明るさは従来機の1.5倍に。作業現場の明るさに合わせて自動で輝度を調整する照度センサーも搭載する。
同社がスマートグラスを初めて発売した2011年当時から業務用を望む声は上がっていたという。現段階では遠隔作業支援に関する問い合わせが多く、海外工場のトラブルシューティングを国内からできるように――といった具体的な利用シーンが上がっているという。
開発キットやAPIなども提供し、サードパーティによるソフトやアプリケーション開発も促進する。発売に先駆け、開発者向けカンファレンスも行う予定だ。国内の販売目標は3年間で1万台。米国、欧州でも国内と同時に販売を始める。
関連記事
- エプソン、ウェアラブル端末開発に注力 「技術力への自信」で100億円規模目指す
スマートグラスをはじめ、ウェアラブル端末の開発を積極的に進めるセイコーエプソン。数年内に関連事業で100億円の売り上げを目指す。 - スマートグラスで江戸時代にタイムスリップ!? AR活用「3Dツアー」近ツーが発売
スマートグラスに江戸時代の風景を投影し、現実の風景に重ね合わせながら楽しめるツアーを近畿日本ツーリストが発売する。 - オペラの字幕をスマートグラスでシースルーに エプソン、新国立劇場で実証実験
エプソンのスマートグラスを使い、観劇中にリアルタイムに字幕や解説をシースルー表示する実証実験が新国立劇場のオペラ公演で行われる。 - エプソン、Android搭載スマートグラス「MOVERIO」新型 アプリマーケットや開発者サイト公開へ
エプソンがシースルー型のスマートグラス「MOVERIO」新型を発売。旧モデルより大幅に軽量化し、機能を強化。サードパーティが専用アプリを開発・配信できる仕組みも用意した。 - 世界初のシースルーモバイルHMD「MOVERIO」 エプソンが発売
世界初というシースルーモバイルヘッドマウントディスプレイ「MOVERIO」をエプソンが発売。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.