トヨタ、MITとスタンフォード大との連携で人工知能(AI)ラボを立ち上げ 自動運転の先へ
トヨタが米大学と連携し、5000万ドルを投じて人工知能(AI)研究センターを設立する。責任者にDARPAロボットコンテストで知られるギル・プラット博士を迎え、自動運転車だけでなく、ロボットや情報サービスの開発を進める。
トヨタ自動車は9月4日(現地時間)、米マサチューセッツ工科大学(MIT)および米スタンフォード大学と連携し、各大学に人工知能(AI)の研究センターを設立すると発表した。向こう5年間で合計約5000万ドル(約60億円)を投じる。
トヨタと連携するのはMITのコンピュータ科学・人工知能研究所(CSAIL)とスタンフォード大学のスタンフォード人工知能研究所(SAIL)。AIのクルマやロボットへの応用を目指し、様々な環境における物体の認識、高度な状況判断、人と機械との安全な相互協調などを実現するための研究を推進する。
また、米国防高等研究計画局(DARPA)のロボットコンテストの責任者だったギル・プラット博士をAI研究全体の統括者として招聘(しょうへい)した。
同社は過去20年近く高度運転支援システムの研究開発に取り組んでおり、センサーによる自動ブレーキなどを製品化してきた。同社のプリウスとレクサスは、米Googleの自動運転車のプロトタイプに採用された。
トヨタの技術開発本部長、伊勢清貴氏は発表文で、「今回の連携では、クルマに留まらず、お客様の暮らし全般をより良いものにすることを目標に、研究に取り組んでいく」と語った。ラボの成果は自動車やロボット、情報サービスなど将来の製品開発に幅広く応用していくとしている。
運転支援については、Googleのような人間による運転を排除する完全な自動運転車を目指すのではなく、人間の快適で安全なドライビングを支援する方向を目指すとしている。伊勢氏は、「人間とは何かという研究も進め、将来的には老人にも運転可能な技術を開発したい」と語った。
記者会見では、CSAILのダニエラ・ラス教授が自動車でのAI応用の例として、運転者の心身の状態を検知して不調なときには好みの音楽の再生を申し出たり、スマートホーム機能と連係して自宅の冷蔵庫をチェックし、帰りに牛乳を買うようアドバイスするといった機能を紹介した。
成果についてのタイムラインについての質問に対しては、プラット博士が「DARPAでの経験から、こうした研究について明確な期日を約束するのは困難なことが分かっている。数年かかるだろうが、確実に前進していく」と答えた。
以下は、記者会見の様子だ。
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