ニュース
土星の衛星エンケラドス、星全体が海に覆われている NASA探査機の観測で判明
土星の衛星エンケラドスは、衛星表面の氷の下に星全体を覆うように海が広がっていることが分かった。
米航空宇宙局(NASA)は9月15日、土星の衛星エンケラドスは、衛星表面の氷の下に広がる海が星全体を覆っていることが分かったと発表した。エンケラドスの海には地球生命が誕生した環境として有力視されている熱水環境があることが分かっており、地球外生命の存在にも期待が高まる。
エンケラドスは直径500キロほどの氷衛星。内部には液体の海が広がり、氷の割れ目を通じ水が宇宙に噴き出していることで知られている。ただ、海がどの程度の広がりなのかは分かっていなかった。
土星探査機「カッシーニ」が観測した7年以上のデータを分析したところ、エンケラドスはわずかに揺れながら土星のまわりを公転していることが分かった。岩石による中心部と表面が強固に結びついているなら見られない程度の揺れであり、中心部と氷の表面は星全体に広がった海によって隔てられていると結論した。
なぜエンケラドスの海が完全に凍結せず液体のままでいられるのかは謎だという。土星の潮汐力が原因で発生するエンケラドス内部の熱が、従来考えられていたものよりずっと大きい可能性があるという。
エンケラドスについては、宇宙に吹き出した水の分析から、地球の海底で見られる「熱水噴出孔」と同様の熱水環境があることが分かっている。熱水噴出口は地球生命が誕生した環境として本命視されており、エンケラドスに広がる巨大な海にも生命が存在するかもしれない。
関連記事
- 土星の衛星に「生命が生息できる環境」見つかる 東大とJAMSTECなど、熱水環境の存在明らかに
土星の衛星エンケラドスの地下に広がる海に、地球生命が誕生した環境として有力視される「熱水噴出孔」と同様の熱水環境が存在することが分かった。「「“生きた地球外生命の発見”という自然科学における究極のゴールに迫る大きな飛躍」だ。 - イカ型ロボットが異星の海を探査──NASA構想
イカ型ロボットが木星の衛星・エウロパの海を探索する──こんな構想をNASAが採択した。 - 準惑星ケレスの“不思議な明るい点”、詳細が撮影される
準惑星ケレスに見つかった不思議な明るい点を探査機「ドーン」が詳細に撮影した。 - 土星の衛星・タイタンの海に輝く太陽 カッシーニが撮影
土星の衛星・タイタンの海に反射した太陽が輝く様子を探査機「カッシーニ」が撮影した。 - 土星に表れた“印象派のような雲” カッシーニが撮影
土星の表面に雲の模様が表れた様子を探査機「カッシーニ」が撮影。NASAは「印象派のよう」と例えている。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.