開発秘話・唯一無二のオリジナルを目指して 3000万ユーザー超え「モンスト」に流れるSNSの思想(3/3 ページ)
世界3000万ユーザーを超えたスマホゲーム「モンスターストライク」。「みんなでわいわい遊べるゲーム」というコンセプトはSNS「mixi」の運用から生まれたものだという。
「XFLAG」スタジオ設立 目指すは「バトルゲームNO.1ブランド」
8月にはこれまでのエンターテインメント事業をコアとした「XFLAG」(エックスフラッグ)スタジオを設立した。メンバーは社内外約300人に上り、「みんなでわいわい遊べる」バトルコンテンツのスマホゲーム、映像作品に注力する。12月にはニンテンドー3DS版の発売が決まっており、年度内にはモンストに続く新たなタイトルを発表予定だ。
別ブランドとして展開する理由は「ブランドカラーの違い」。「ミクシィが柔らかいスイーツのような雰囲気だとしたら、XFLAGはガッツリ男っぽく、ラーメンやカレーのようなイメージ」(木村さん)とし、「団結、挑戦、熱中」をテーマに王道少年漫画のような作品を生み出していく。
キャッチコピーの「ケタハズレな冒険を。」はユーザーだけでなく、開発者自身にも向けた言葉。「ユーザーに飽きずに楽しんでもらうためにはまず自分たちが新しいチャレンジをし続けなくてはいけない」と、既存ユーザーの期待や要望に応えつつ、大胆な革新にも取り組む姿勢を改めて意識する。
唯一無二のオリジナルへ
サービス規模が拡大し、コンテンツとしての影響力や集客力も高まっている。8月2日に開催したリアルイベント「モンストフェスティバル」(千葉・幕張メッセ)には約5万人が来場したが、想定以上の人数で会場内に入れない人も多く、炎天下の行列により11人が熱中症などで救急搬送される事態に陥った。
「会場内では多くの笑顔が見られたが、収容人数が足りず、運営上の不備で迷惑をかけてしまったことを深く反省している」と木村さんは話す。事前抽選ではないイベントは初めてで、「親子連れの多さなども鑑み、今後の開催では安全に楽しんでいただけるイベントに改善していきたい」と言う。
オフラインのイベントにこだわるのは、ゲーム自体の思想と同じく「同じコンテンツを好きな人同士で集まる“お祭り”の楽しさを提供したいから」。普段顔を見る機会のないユーザー、関連企業ともコミュニケーションする機会として、今後も何らかの形で行っていきたいという。
開発陣に届くファンからの手紙やイラストはメンバー全員で回覧している。ユーザーが常に目の前にいるわけではないからこそ、顔を思い浮かべながら制作する活力だ。「好きなキャラクターを教えてくれたり、一生懸命イラストを描いてくれたり……小学生から『一生やめないでください』と手紙をもらうと、そうだな、やめられないな、と思います」(木村さん)。
「モンストが目指すのは『モンストになること』。家族や友達とわいわい楽しむ輪の中心にあるようなものを作りたいというのが開発を始めた時からずっと変わらないコンセプト。何かの真似や代わりではなく、今までなかったオリジナルとして長く愛されるよう、これからも仕掛けていきたい」(木村さん)。
関連記事
- 「アニメを届ける最適な手段として、テレビではなくYouTubeを選んだ」 「モンスト」アニメ版、世界同時配信へ
「モンスト」のオリジナルアニメは10月からYouTubeで世界同時配信へ。「アニメを届ける最適な手段として選択したのはテレビではなくYouTube配信だった」という。 - 「モンスト」イベント混乱、ミクシィが謝罪 「想定の甘さと運営の未熟さ」
「モンスターストライク」のイベントで熱中症とみられる救急搬送が相次ぐなど混乱した問題で、ミクシィが謝罪。 - ミクシィの今期、「モンスト」効果続き売上高・利益とも大幅拡大へ
モンスト効果が続き、ミクシィの今期は売上高が63.8%増の1850億円、営業益は51.8%増の800億円になる見通しだ。 - 「モンスターストライク」、アニメ化決定 3DS版も発売へ
「モンスト」のアニメ化と3DS版発売が決定。 - 「モンスト」北米版公開
ミクシィは、「モンスターストライク」の北米版を公開した。 - ミクシィ「モンスターストライク」400万ユーザー突破 公開から半年
ミクシィのスマホ向けゲーム「モンスターストライク」が、公開から半年で400万ユーザーを突破した。 - ミクシィ「モンスターストライク」300万ユーザー突破 “再成長”の中核へ
ミクシィのスマホ向けRPG「モンスターストライク」が300万ユーザーを突破。広告宣伝費を増額し、同社の“再成長”の中核として伸ばしていく。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.