Google、機械学習システム「TensorFlow」をオープンソースで公開
人工知能に注力するGoogleが、自社開発した機械学習システム「TensorFlow」をApache 2.0ライセンスでオープンソース化した。
米Googleは11月9日(現地時間)、同社サービスで既に採用している機械学習システム「TensorFlow」をオープンソース(Apache 2.0ライセンス下)でリリースしたと発表した。公式サイトに情報がまとまっている。
Googleはこれまで、2011年に立ち上げたディープラーニングインフラ「DistBelief」を使ってニューラルネットワークを構築して膨大な猫のYouTube動画を“見せて”猫を認知させたり、Google検索のアルゴリズム「RankBrain」を開発したりしてきた。また、4日に発表したメールアプリ「Inbox」の返信文提示機能「Smart Reply」も人工知能によるものだ。
TensorFlowはこのDistBeliefの改良版。DistBeliefはニューラルネットワークに限定されており、Googleの社内インフラと強く結合しているが、TensorFlowは第2世代の機械学習システムとして、こうした欠点を除き、より速く、フレキシブルに改良したという。ベンチマークの結果では、TensorFlowはDistBeliefの2倍の速度だったという。
TensorFlowはディープラーニングをサポートするが、さらに広範囲なコンピューティングでも使えるという。ユーザーはPythonのユーザーインタフェースを使ってTensorFlowで自分のアイデアを視覚化できる。
*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***
TensorFlowのパッケージは、Ubuntu/Linux、Mac OS X、Dockerベースで用意されている。
Googleのサンダー・ピチャイCEOは「TensorFlowをオープンソースにすることで、機械学習のコミュニティー(研究者、エンジニア、ホビイストなど)が論文だけでなく実施のコードを通じてより迅速にアイデアを交換できるようにしたい」と語った。
関連記事
- Google、「Inbox」に人工知能による返信文提示機能「Smart Reply」追加へ
Googleが、受信したメールの内容を人工知能が読み取って返信文候補を提示する機能「Smart Reply」をメールアプリ「Inbox」の英語版に追加する。「リカレントニューラルネットワーク」という技術を使っており、Googleの人間がユーザーのメールの内容を読むことはない。 - Google、検索アルゴリズムにAI(人工知能)「RankBrain」のシグナルを採用
Googleの上級科学研究員が、Bloombergのインタビューで、Google検索のアルゴリズムで「RankBrain」と呼ばれるAIシステムを採用したと語った。 - Googleの人工知能「DQN」、アタリゲームで人間よりハイスコア叩き出す
Google傘下の人工知能企業DeepMindが、ブロック崩しなどのビデオゲームのルールをほぼゼロから学習し、人間よりハイスコアを獲得するまでに成長する人工知能アルゴリズム「DQN」に関する論文をNatureで発表した。 - Googleのラリー・ペイジCEO、TEDで人工知能を語る
Googleのラリー・ペイジCEOがTED 2014に登壇し、買収した人工知能企業DEEPMINDの技術で取り組んでいることなどについて語った。 - Google、人工知能企業DEEPMINDを買収
ロボット企業やスマートホーム企業を積極的に買収しているGoogleが、往年の天才ゲーム開発者で認知神経科学の博士号を持つデミス・ハサビス氏が立ち上げたAI企業を買収する。 - GoogleのシュミットCEO、自律検索と人工知能を語る
シュミットCEOは「TechCrunch Disrupt」での講演で、ユーザーの検索を予測して結果を表示する「Google Instant」の次のステップは、検索しなくても情報を提示する「自律検索」だと主張した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.