「小説家になろう講座」の名称、差し止め求めた理由は 「小説家になろう」運営元に聞く
「小説家になろう」運営元のヒナプロジェクトが、山形で19年間続く「小説家になろう講座」に名称の使用差し止めを求めたことに批判が集まっている。差し止めを求めた理由を運営企業に聞いた。
小説投稿サイト「小説家になろう」を運営し、「小説家になろう」の商標権を保有しているヒナプロジェクト(大阪府枚方市)が、山形市で続いてきた文章講座「小説家(ライター)になろう講座」に対して名称の使用差し止めを求めた。これを受け、同講座は名称を変える――3月11日付けの山形新聞のこんな報道が、ネットで注目を集めている。
同社は「小説家になろう」の商標を13年に登録。一方、「小説家(ライター)になろう講座」は97年から続いている。後発の企業が、歴史ある講座の名称に“待った”をかけた今回の事態。ネットユーザーから批判が巻き起こり、失望と抗議の意味を込めて「小説家になろう」から作品を引き上げた作家も現れた。
ヒナプロジェクトは報道を受け、「一般の方などに反響があったことについては承知している」としながらも、「名称の使用を放置すれば、当社の商標権を維持することが実質的にできなくなる」と、差し止めを求めた理由を説明している。
「小説家になろう」は国内最大級の小説投稿サイトで、04年にオープン。38万以上の作品が公開されおり、「魔法科高校の劣等生」など人気投稿作が書籍化された例も多い。
一方、「小説家(ライター)になろう講座」は、第一線で活躍する作家や編集者を招いて月1回、山形市内で開かれている講座だ。これまでに大沢在昌さんや角田光代など著名な作家らが講師を務め、受講生からは深町秋生さんなど人気作家も輩出してきた。
山形新聞の報道によると、同講座は名称の使用差し止め請求を受け、16年度から新たな名称で再スタート。新名称は商標を出願する予定という。
使用差し止めについて、ヒナプロジェクトは「当社は『小説家になろう』の名称について商標権を取得している。同一または類似する名称の利用を放置した場合、当社の商標権を維持することが実質的にできなくなるので、発見した際は警告している。山形市の講座に対する対応もそうした方針の一環であり、それ以上の他意はない」と説明する。
同講座は19年前から続き、投稿サイト「小説家になろう」より歴史も古いのでは――とたずねると、「先方の従前の名称利用の経過については、存じ上げていない」という。
差し止め請求を受け、山形市の講座が名称変更を行うことについては、「名称の使用について正当性を主張して講座の名称を維持されるか、当社からの要請を受容して頂くかは先方の判断に委ねざるを得ないものであり、当社は先方の判断に回答を行なう立場にはない。講座の名称について先方がご自身でご判断されたものとして、当社はその意向を尊重する」としている。
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