Facebook、ザッカーバーグCEOの揺るぎない指導権確保のためにクラスC株式発行へ
Facebookが、議決権のないクラスC株式を発行する計画を発表した。“世界をつなげる”という長期的なミッションを遂行しやすくするために、議決権の約6割を持つマーク・ザッカーバーグCEOの指導権を長期的に守るのが目的だ。
米Facebookは4月27日(現地時間)、第1四半期の業績発表とともに、議決権のないクラスC株式を発行する計画を発表した。
マーク・ザッカーバーグCEOが提唱する「世界を接続する」という同社のミッションを実現するため、同氏の支配権を確保するのが目的だ。同氏の現在の議決権は60.1%だ。
6月20日に予定している年次株主総会で承認を得られれば、現在市場にあるクラスA(1株1議決権)およびクラスB株式(1株10議決権)の1株に対し、新たに2株のクラスC株を配当として配布する。米Googleが2012年に実施した株式分割と同様に、創業者の支配権維持が目的だ。
社外の株主は議決権を失うが、経済利権は保てる。
ザッカーバーグ氏は自身のノートで、「われわれのミッションのために、Facebookはこれまでも常に創業者が率いる企業だった。この体勢のおかげで、多くの企業が被っているような短期的成果を求める外部からの圧力を回避できている」とし、「世界が繋がることを助けるのは私にとって最も重要なことだが、より世界的な、私が解決を支援する必要がある複数の問題──今世紀中にすべての病気の治療を可能にすること、教育の改善、地球温暖化問題の解決など──がある。これが、生存中に私と妻のプリシラが保有するFacebook株の99%をChan Zuckerberg Initiativeに提供する理由だ」と語った。
同氏は、クラスC株発行が実現すれば「私はFacebookでの創業者としての支配権を保つことができ、Facebookでの長期的なミッションを遂行できる。また、プリシラと私は重要な事業により早く投資できる。世界中の素晴らしい科学者、教育者、医師が目覚ましい働きをしており、われわれは彼らを助けることで、30〜40年後ではなく、すぐに大きな違いを生み出したい」と語った。
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