ニュース
川の水に溶けたDNAで絶滅危惧種「ニホンザリガニ」の生息を確認 北大など手法開発
ニホンザリガニが生息するかどうかを川の水に溶けたDNAを調べることで判定する方法を、北海道大学と兵庫県立大学の研究チームが開発した。
絶滅危惧種のニホンザリガニがいるかどうかを川の水に溶け出したDNAを調べることで判定する手法を、北海道大学と兵庫県立大学の研究チームが開発した。今後、他の水中に生息する絶滅危惧種や外来種に対しても、生息の有無を簡易に判定できる手法を確立できる可能性を示している。
ニホンザリガニは、北海道や東北地方などに生息する絶滅危惧種のザリガニ。川の石の下などに隠れて暮らすため、石をどかしながら探す捕獲調査では、生息の有無を確認するのに数時間はかかっていたという。
研究チームは、川の水を解析し、ザリガニのふんや表皮から溶け出た「環境DNA」が含まれるかどうかで生息地を判定する方法を考案した。2014〜15年に札幌近郊の川で、DNAの有無を解析し、捕獲調査も同時に行ったところ、実際にザリガニを捕まえた10カ所全てで、環境DNAを検出したという。
水の採取は数分ででき、捕獲調査と比べると短時間で調べられる。今後は、他の絶滅危惧種や外来種のモニタリングへの応用が期待できるとしている。
成果は、米科学誌「Conservation Genetics Resources」(電子版)に6月19日付で掲載された。
関連記事
- パンダだって恋をしたい! 好きな相手としかしたくないことが判明
ジャイアントパンダの人工繁殖がうまくいかなかったのは、好きな相手ではなかったからだ――そんな論文が発表された。 - 野生のトラ、100年ぶりに増加 世界で3890頭に
全世界の野生トラの個体数が100年ぶりに増加したとWWFが発表した。 - しんかい6500、クジラの遺骸から新種の深海生物41種を発見 「飛び石仮説」解明に一歩
JAMSTECの潜水調査船「しんかい6500」がブラジル沖で発見したクジラの遺骸に、深海生物41種類が生息していたことが判明。ほとんどが新種の可能性があるという。 - 福井県で新種の恐竜 学名は「フクイべナートル・パラドクサス」
福井県立恐竜博物館が2007年に発見した化石が新種の恐竜のものと判明。学名は「フクイべナートル・パラドクサス」と決まった。 - 画像認識使ったペンギン観察システム、英大学が開発
野生動物を捕まえてタグを付けるのではなく、カメラと画像認識で個体を識別し、観察するシステムを、南アフリカでペンギンの観察に利用している。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.