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「今や雑誌は情報ではなく“雑貨”」――女性向けWebメディア「MERY」が紙の雑誌を創刊した理由(3/4 ページ)

月間2000万UUを超える女性向けキュレーションサービス「MERY」が3月に雑誌を創刊。全国でほぼ5万部が完売する反響となった。出版不況や雑誌離れが叫ばれる今、Web/アプリを飛び出し、あえて紙のメディアに挑戦した理由とは――。

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 「気になったことはスマホですぐに情報収集できる今、紙の雑誌で速報性や詳報性を高めてもメディアの特性として合っていない。読者の女性が部屋に置きたいと思える“雑貨”を作りたかった」(野崎部長)

 雑誌単体で高い収益性を求めているわけでなく、ビジネスモデルとしてはあくまでWeb/アプリで展開する記事広告を中心に据えているからこそできるアプローチとも言える。一方、雑誌は単にこれまでのWebの延長というわけではなく、雑誌に掲載した広告の中には、初めて出稿するクライアントからのものもあったという。

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巻頭では「メリーガールってこんな子」をハッシュタグ風に箇条書きで

 「女性向けメディアとしての『MERY』自体の認知度は上がってきており、媒体としての価値を感じてもらっていても、Web記事のフォーマットではやりにくいというブランドもあった。大判のビジュアルでアピールできる雑誌広告にはまた違ったニーズがあり、雑誌を発刊したことで、読者だけでなくブランドやメーカーに対しても、媒体の色を深く理解してもらえた実感がある」(野崎部長)

Webメディアと雑誌は共存するか?

 創刊号は、大都市圏を中心に全国に配本し、5万部がほぼ完売。想定以上のスピードで売り切れ、「買えなかった」という声も寄せられるほどだったという。

 野崎部長は成功の理由の1つとして、発売前から読者の関心を高める参加型の施策をWebで展開していたことを挙げる。付録のフォトプロップス(写真撮影に使用する小道具)は、デザイン案を事前に公開し、約5万票のユーザー投票で決定した。Web/アプリのユーザーに発売を告知しながら、自らが選んだ・関わったものとして興味を持ってもらい、購入につながった手応えがあるという。

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付録を投票で決定
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ハッシュタグを設定し、Instagramへの投稿も促す

 「Webのコンテンツ作りで常に意識しているのは、実用性があり、行動につながること。記事1つ1つだけではなく、メディア全体として『明日も見に来よう』と信用してもらう、愛着を持ってもらえるように日々作ってきたことが雑誌の反響にもつながったのでは」(野崎部長)

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