Twitterのいじめ対策の不完全さを指摘するBuzzFeedの記事にTwitterが反論
BuzzFeedがTwitterの多数の元従業員の証言に基づいて執筆したTwitterのいじめ対策の不備を指摘する記事について、Twitterと同社の元CEOのディック・コストロ氏がそれぞれに「記事は不正確だ」と表明した。Twitterは「記事は今日初めて読んだ」というが、BuzzFeedは「かなり前にコメントを求めて原稿を見せたが反応がなかった」としている。
「今日のBuzzFeedの記事は正確ではなく、記述は不公正だ」──。米Twitterは8月11日(現地時間)、同日BuzzFeedが公開した記事「“A Honeypot For Assholes”: Inside Twitter’s 10-Year Failure To Stop Harassment(“間抜けのための蜜壺”:Twitterの10年越しのハラスメント失策)」について公式ブログでこうコメントした。
BuzzFeedの記事は、元幹部を含む10人以上の元Twitter従業員と、Twitter上でハラスメント(いじめ)に遭ったユーザーへのインタビューに基づく長大なものだ。
この記事では主に、Twitterのいじめ対策がなぜ徹底しないのかを、複数の元従業員の証言で説明している。曰く、Twitterはもともといじめ問題よりも表現の自由を優先する文化があり、また、幹部の人数が多く、移り変わりも激しいために方針が安定せず、混乱しているという。
そうした証言の中で、ある従業員は、2015年にTwitterが実施したバラク・オバマ大統領のアカウントに対するQ&Aイベントの際、当時のディック・コストロCEOが秘密裏にオバマ氏に対する暴言ツイートをアルゴリズムでフィルタリングしていたと語った。
現在は米ベンチャーキャピタルIndex Venturesのパートナーを務めるコストロ氏は自身のTwitterアカウントで、「リンクを貼るのもばかばかしいが、(あの記事は)完全に無意味で笑っちゃうほど間違っている」「Twitterでいかに信頼と安全が機能しているかという根本を理解していないことを露呈している。扇情的なナンセンスだ」と反論している。
Twitterも発表文で「BuzzFeedは(記事公開前日の)昨夜になってわれわれにコメントを求めてきた。われわれは今日初めて記事を読んだ」としている。
だが、BuzzFeedのジョン・パチカウスキー編集長は自身のTwitterアカウントで、「Twitterは昨夜になるまでわれわれに反応しなかった。(記事公開までに)猶予をくれとも言われなかったし、電話でのコメントも断った」とツイートした。このツイートには同メディアの編集者による「われわれはTwitterに反応できるだけの十分な猶予を与えたが、電話1本くれなかった」というツイートへのリンクも追加されている。
両者の発言は矛盾しているが、どちらが正しいかは第三者には不明だ。いずれにしてもTwitterは「われわれがすべきことは山積みだが、(いじめ対策に)全力を注いでいることは知っておいてほしい」としている。
Twitterでは最近も黒人女優のレスリー・ジョーンズさんがTwitter上でいじめに遭い、このケースではジャック・ドーシーCEOが直接ジョーンズさんとやり取りをして最終的にはいじめの先鋒だったジャーナリストのアカウントを永久削除するにいたった。
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