国際宇宙ステーション、「こうのとり」6号機をロボットアームでキャッチ その瞬間を見てきた
筆者はその瞬間を、宇宙飛行士である油井亀美也さんの隣で見届けることができた。油井さんは筆者らにリアルタイムで状況を解説。その貴重な映像とともに、「こうのとり」6号機のチームメンバーの姿をレポートしたい。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は12月14日、宇宙ステーション補給機「こうのとり」6号機が国際宇宙ステーション(以下、ISS)との結合を完了したことを発表した。結合には、ISSロボットアームを使用。アームはISS滞在中の宇宙飛行士によって操作され、12月13日午後7時39分(日本時間)に無事把持された。
ロボットアームでキャッチした瞬間、筑波宇宙センター運用管制室では職員らによってその様子が見守られ、筆者もそこに同席。ロボットアームの操作が無事完了すると拍手が沸き起こった。
「こうのとり」6号機のミッションは、物資の輸送。日本製のリチウムイオン電池を使用した新型ISSバッテリーをはじめ、宇宙飛行士の飲料水や食料、実験装置などを搭載していた。
特に、新型ISSリチウムイオンバッテリー6台の輸送は重要なミッション。現在ISSで使用されているニッケル水素バッテリは老朽化が進んでおり、新型バッテリーの輸送は2024年までのISS運用に不可欠なものだという。また、このバッテリーを輸送出来る技術を持っているのは日本の「こうのとり」だけ。「日本製のバッテリーを、日本のこうのとりが運ぶ。これは日本の技術が世界のスタンダードになっているという証だ」と、宇宙飛行士の油井亀美也さんは誇らしげに語る。
油井さんといえば、日本人として初めてロボットアームでこうのとりをキャプチャした人物。6号機把持の瞬間は筑波宇宙センター運用管制室前で見守りながら、「つかむ瞬間は心臓が口から飛び出るほど緊張する。しかし、これ以上ないほど準備をしてきたので大丈夫という自信がある。できれば私がまたつかみたい」と話した。
(太田智美)
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