米Appleの研究者は12月22日(現地時間)、同社としては初になる人工知能(AI)関連の論文「Learning from Simulated and Unsupervised Images through Adversarial Training」を発表した。
同社は昨年から複数のAI関連企業を買収しており、幹部らは、Siriや「写真」アプリなど、同社の様々なサービスで既にAIを採用していると語っているが、関連論文を発表するのはこれが初めてだ。
論文の署名は、6人のAppleの研究者。第一筆者のアシッシ・シラーシュヴァ氏は、LinkedInによると、4月にAppleに入社した。メリーランド大学でディープラーニングを学び、電気工学の博士号を取得している。
この論文は、現実世界の画像ではなく、コンピューターで創作した画像を使ってアルゴリズムの認知能力を訓練する方法の改良についてのものだ。
機械学習の研究で、ニューラルネットワークの訓練に人工的に創作した画像(例えば、ゲームのキャラクターの目の画像)を使うと、現実の画像(例えば、写真に写った人物の目の画像)を使うより効率的だ。なぜなら、現実の画像を使う場合は人間がラベルと注釈を手作業で追加しなければならないが、人工的な画像にはすでにラベルと注釈が付いているからだ。だが、人工的な画像では、アルゴリズムが学習することが必ずしも常に現実世界の場面に即すわけではないという問題がある。人工的な画像は「十分にリアルでないことが多く、ニューラルネットワークが人工的な画像が提供する詳細だけを学び、現実の画像の認知に失敗することに繋がる」とAppleは説明する。
この問題を解決するために、Appleは「Generative Adversarial Networks」(GAN)と呼ばれる機械学習による画像生成技術の改良版「SimGAN」を採用した。現実の画像(写真)を使って人工的な画像のリアルさを強化するネットワークと、その成果を判定するネットワークという、2つのニューラルネットワークを対抗させることで人工的な画像を改善するというものだ。将来的にはこの技術で動画に応用するとしている。
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