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ニコン「DL」発売中止でTwitterに悲鳴広がる 赤字拡大に「大丈夫か」の声も

ニコンが開発中のコンデジ「DLシリーズ」の発売中止と最終赤字の拡大予想を同日発表。Twitterでは「ニコン大丈夫か」といった声も広がっている。

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 ニコンは2月13日、開発中のデジタルカメラ「DLシリーズ」の発売を中止すると発表した(関連記事)。当初は昨年6月に発売予定で、すでに予約を受け付けている店舗もあっただけに、Twitterでは購入希望者とみられる人々の悲鳴や驚きの声が広がっている。

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DLシリーズ特設サイトより

Twitterに驚きや悲鳴 「これからのNikonも心配になる」

 発売を中止したのは「DL18-50 f/1.8-2.8」「DL24-85 f/1.8-2.8」「DL24-500 f/2.8-5.6」の3モデル。いずれも市場想定価格は10万円前後と、コンパクトデジタルカメラとしては高級路線に位置づけられるラインアップだった。

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公式サイトでは「発売中止」に

 2016年2月に発表し、当初は同年6月に発売予定だったが、4月に「画像処理用のICに重大な不具合があることが判明した」として発売時期を未定に。その後も発売のめどが立たない状況が続いていた。

 そして今回ついに、発売中止を正式発表。Twitterでは「嘘だろ、、」「販売店が予約受付までしてたのに」といった購入希望者とみられるユーザーの声が続々上がり、「大丈夫なのNikon」「これからのNikonも心配になるような出来事」などと経営状態を心配する声も。13日18時50分現在「ニコン」がトレンドに入っている。

「先行予約した人に申し訳ない」

 ニコン広報課は取材に対し、「DLシリーズは、昨年4月に発売延期を発表してからも不具合対応を進めてきた。しかし、当初想定していたよりも画像処理用ICチップの開発に費用がかかってしまった。開発費の高騰に加え、近年のコンデジの出荷・販売状況の落ち込みを見て、やむなく発売中止を決めた」と話す。

 ニコンによると、今回のような形で高級デジカメの発売を中止するのは同社としても珍しい。東日本大震災の際に一部の国や地域にデジカメを発売できなくなったことや、過去にエントリー向けコンパクトデジカメの発売を取りやめたことはあったが、高級機を発売中止した例はほとんどないという。

 「昨年2月の発表以降、先行予約を受け付けている販売店もあった。すでに予約を申し込んでいただいた人には本当に申し訳ない」(広報担当者)

 予約者に対する補償などは「現時点で決まっていることはない」としつつ、販売店との間で検討していく可能性もあるという。また、プロ写真家による作例などを公開していたDLシリーズ特設サイトは「近日中に削除する予定」という。

「想定以上の市場減速」「引き続き厳しい状況」

 ニコンは同日、2017年3月期の連結業績が90億円の最終赤字(前回予想時は60億円)に膨らむ見通しだと発表した。その主な理由は、デジカメを含む映像事業や産業機器事業の販売台数不振によるものだという。

 特に映像事業では「想定以上の市場減速」があるとし、16年度通期の売上高予想を前回予想時からマイナス350億円に、営業利益予想を前回予想時からマイナス80億円にそれぞれ下方修正している。

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ニコン決算資料より

 カメラ映像機器工業会が公開している統計データによると、同社製を含むデジタルスチルカメラの総出荷数は年々減少。2016年1〜12月の世界累計出荷数は2418万9870台と、前年比68.3%まで急落している。

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カメラ映像機器工業会の統計データ(デジタルスチルカメラ世界累計出荷数、2016年1〜12月)

 決算資料によると、ニコン製コンパクトデジカメの2016年4〜12月の累計販売台数は242万台(前年同期比44.9%)と落ち込みが激しい。レンズ交換式デジカメ(247万台、前年同期比69.5%)や交換レンズ(369万本、77.3%)も同じく不調で、「引き続き厳しい状況が続くことが予想される」としている。

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