「新規事業を考えてきたのは、テレビスタジオの事業をどうするのかというネガティブな要素もございます。『笑っていいとも!』が終了した後、新宿のアルタ館のテレビスタジオについてはイベント運営のみで行ってきました。ちょうどそのときと同期する形で、市場の変化を検討し、訪日観光客向けのエンターテイメントビジネスをコア事業化していくと決めました」(スタジオアルタの田沼和俊社長)
スタジオアルタは2月28日、東京・有楽町センタービル(有楽町マリオン)の7階で、訪日観光客向けの劇場「オルタナティブシアター」を7月7日にオープンすると発表した。初演の演目では、せりふが一切ない「非言語(ノンバーバル)音楽劇」を予定。「日本のブロードウェイを目指す」という。
「オルタナティブシアター」という名称は、「ALTA」の語源にもなっている「ALTERNATIVE」(既存のものに縛られない)の意味から名付けたもの。同社がもともと「劇場」「街頭ビジョン」「映像制作」の3本柱で事業を行ってきたこともあり、「Made in Japan」「Find Your Japan」をスローガンに、海外に向けたコンテンツ輸出の準備も始めているという。
ターゲットは65%が訪日観光客、5%が在日外国人、残りの30%が日本人。2017年度は500講演・14万人の動員(売り上げ12億円)、18年度は700講演・20万人動員を目指す。11億円の自社投資を行っており、4年で回収予定。料金体系は、本編70分と前節20分の合計90分で8000円を想定しているという。
「日本のナイトライブコンテンツが少ないという声から、劇場観劇型にこだわった。席数は462席(立ち見52席含む)。臨場感があって良いとされる、300〜500人ほどが収容できる場所を探した。もともとここは映画館で、立派なシャンデリアが天井にあったが、それは取り除きLEDの照明を付けている。また、観客席の上で3Dワイヤーアクションできるよう先行投資もした。“日本のブロードウェイ”を目指し、銀座の夜の過ごし方を提案できたらと思う」(スタジオアルタの田沼和俊社長)
興味深かったのは、SNSでの発信を見据えた対応を検討中ということ。スタジオアルタは日本のポップカルチャーを世界に向けて発信するプロジェクト「MOSHI MOSHI NIPPON(もしもしにっぽん)」の映像制作などを行う企業でもあるが、劇場での動画・写真撮影が広く容認されていない日本において、そういった取り組みはおもしろい。
同シアターは、韓国の劇場「NANTA」(ナンタ)を参考にしているが、まずは米国への進出を狙っているとのこと。「演目を頻繁に変えるのではなく、1つの演目を長く続けて、育てて、世界に持っていきたい」と、田沼社長は話している。
(太田智美)
関連記事
- 映画「ソードアート・オンライン」に“IBMっぽいサーバ”が登場した理由 原作者「メインフレームにロマン感じる」
特徴的な外観に、ピンときた人も? - 「この世界の片隅に」完成前のバージョン誤って上映 青森の映画館で
青森市の映画館「青森シネマディクト」で2月14日まで、「この世界の片隅に」の最終完成前のバージョンが誤って放映されていたことが発覚した。 - 政府が「SAO」「サマーレッスン」講演、サイバー攻撃の啓発イベントで 川原礫さんら登壇
内閣サイバーセキュリティセンターが啓発イベント「サイバー攻撃を目撃せよ!2017」を3月に開催。アニメ「ソードアート・オンライン」原作者の川原礫さんらのトークイベントなどを行う。 - 「ソードアート・オンライン」は「すでに実現しつつある」――落合陽一さん・伊藤監督ら 「SAOが未来の世界観を決めている」
「ソードアート・オンライン」の世界はいつ訪れるのか、実現している技術はあるのか――筑波大の落合陽一助教授、同アニメの伊藤智彦監督らが語った。 - 劇場版SAO“ARアイドル”「ユナ」が歌声披露 リアル映像に酔いしれてきた【画像多数】
「劇場版 ソードアート・オンライン」の公開を前に、作中で「ARアイドル」として登場するキャラ「ユナ」のライブが開催。3DCGのユナが透明スクリーンに浮かび上がり“ARライブ”を行った。 - ミクシィ、モンスト映画化やYouTubeアニメに「手応え」 メディアミックスに継続投資
ミクシィの森田社長は16年4月〜17年3月期の決算説明会で、「モンスト」のメディアミックスに引き続き注力していく方針を示した。 - 淡路島にアニメのテーマパーク「ニジゲンノモリ」7月オープン 「火の鳥」の世界、体感も
アニメをテーマにした「ニジゲンノモリ」が淡路島に登場。「火の鳥」や「クレヨンしんちゃん」を題材にしたアトラクションが楽しめる。 - MicrosoftやTwitterなど、大手IT企業が続々とトランプ大統領令に懸念を表明
ドナルド・トランプ米大統領が1月27日に署名した移民規制大統領令について、Google、Facebook、Microsoft、Twitter、Teslaなどをはじめとする多数のIT企業のCEOがTwitterやFacebookで懸念を表明している。 - Amazonの「マンチェスター・バイ・ザ・シー」、アカデミー賞6部門でノミネート
Amazonが配給権を持つ映画「マンチェスター・バイ・ザ・シー」がアカデミー賞の作品賞を含む6部門にノミネートされた。 - 「ソードアート・オンライン」Tカード発行 劇場版デザイン
「劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-」に登場する主人公のキリトとアスナ、新キャラクターのユナがデザインされた「Tカード(ソードアート・オンラインデザイン)」が登場。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.