Uber、特別プログラム「Greyball」で世界の役人を欺いている?
Uberがサービスを取り締まろうとする地域で、当局関係者によるおとり調査などを回避する目的で特別プログラムを使っているとNew York Timesが報じた。
米Uberは特別プログラムを用いて、同社サービスを禁じる地域で当局を欺いていると、米New York Timesが3月3日(現地時間)、複数のUberの従業員および元従業員からの情報に基いて報じた。
「Greyball」と呼ばれるこのプログラムでは、Uberが当局関連者だと判定したユーザーが車を呼ぼうとしても、アプリ上に車が表示されていても配車できないようにするという。
UberやLyftのような配車サービスは、地域の法律によっては違法とみられる場合がある。Uberは新しい市場に参入する際、当局によるおとり捜査を回避する目的でGreyballを使っているという。
Uberは、ユーザーのクレジットカード情報や利用している端末(大量に購入された安価な端末の1台であればおとり捜査用である可能性が高い)情報などからユーザーが当局関連者かどうかを判定するという。また、規制当局のオフィスなどのある場所にはジオフェンス(仮想的な壁)を構築して配車できないようにする。
New York Timesによると、このプログラムはこれまで、米国のボストン、ポートランド、ラスベガス、フランスのパリ、韓国などで使われたという。
Uberの広報担当者はNew York Timesに対し、GreyballはUberの利用規約に反するユーザーによるサービス利用を防止するためのプログラムであり、ドライバーをそうしたユーザーから守るのが目的だという声明を送った。
こうしたプログラムが違法かどうかは地域にもより、不確かだとNew York Timesが取材した法律の専門家はコメントしている。
Uberはこのところ、元従業員によるセクハラ問題の告発、競合するWaymoからの提訴、トラヴィス・カラニックCEOとドライバーとの口論動画の公開など、立て続けに問題が浮上している。カラニックCEOは口論動画について公式ブログで「初めて自分は指導者として助けが必要だと認める」と語った。
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