現金投入口なし、スマホアプリで買う自販機 JR東WBが投入 「伸び悩む市場への試金石」
現金投入口がなく、スマホアプリでドリンクを事前購入する「イノベーション自販機」をJR東日本WBが開発。東京駅を皮切りに、首都圏の駅構内に約20台を設置する。
JR東日本ウォータービジネスは3月14日、現金投入口がなく、スマートフォンアプリで事前にドリンクを購入して受け取れる自動販売機「イノベーション自販機」を東京駅に設置した。17年5月までに、首都圏主要駅に約20台を順次設置する。「スマホアプリを使った機能が、どれほどニーズがあるかを確認する実験的な取り組み」という。
同社がJR駅構内などに展開する自販機「acure」(アキュア)の新型。専用スマートフォンアプリ「acure pass」(iOS/Android向け、ダウンロードは無料)で事前にドリンクを購入しておき、アプリ画面に表示されるQRコードを自販機にかざすと飲料を受け取れる。ドリンクをまとめて購入すると割安になるサービスも用意するという。
アプリでは、Suica、LINE Pay、クレジットカードなどを事前に登録して支払う。Suica、PASMOなどの交通系電子マネーを自販機に直接かざして購入することもできるが、現金での支払いはできない。
アプリ内購入時に受け取るQRコードを、TwitterやLINEなどで友人や家族に送れる機能も用意。「上京や単身赴任で遠く離れた家族にドリンクをプレゼントできる」(同社)。
車いすのユーザーや身長が低い子どもでも購入できるよう、自販機の低位置にメニューを表示する機能も備える。
イノベーション自販機はまず、東京駅丸の内地下1階コンコースびゅうスクエアに設置。3月中に新宿駅、横浜駅、品川駅、池袋駅、大崎駅、上野駅などに順次設置するという。
「自販機らしくない自販機」目指す 伸び悩み打開の試金石に
「自販機業界は楽観視できるものではない」――JR東日本ウォータービジネスの鈴木浩之社長はそう話す。自販機による飲料の売り上げが伸び悩む中、より消費者の購買を促すために「自販機らしくない自販機の売り方を目指した」という。
新型自販機では、アプリ内購入データをもとに飲料の需要をチェック。将来はデータを参考に、品切れが起きないよう効率的に飲料を供給することも見込む。
「今回の取り組みは、スマホアプリを使った機能がどのように使われるか、テストマーケティングが目的。利用状況を加味し、ニーズのある機能を見極め、今後どう展開していくかの試金石になる」(鈴木社長)
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