日本人選手が派遣できない eスポーツが“メダル種目”になるも……協会が抱える課題
eスポーツが、2022年のアジア競技大会のメダル種目に。だが、日本人選手を大会に派遣するには「越えなければならないハードルがある」。日本eスポーツ協会に聞いた。
コンピュータゲームの腕を競い合う「eスポーツ」が、“アジアのオリンピック”こと、スポーツ国際大会「2022年 アジア競技大会」で正式なメダル種目になると決まった(関連記事)。サッカーやボクシングなどと並んで、eスポーツでもアジアの頂点の座が争われる。だが、この大会に日本人選手が参加できるかというと、現状はそうではない。
「越えなければならないハードルがある」――そう話すのは、一般社団法人日本eスポーツ協会(JeSPA)の筧誠一郎事務局長。日本のeスポーツ界が抱える課題とは。
日本人選手を派遣するには……
eスポーツは、野球やサッカーなど一般のスポーツと同様に、競技としてコンピュータゲームの腕を競い合うもの。海外では“プロスポーツ”という認知が浸透し、プロリーグやプロチームも存在するが、日本では競技者数が少なく、発展途上にある。アジア競技大会に日本人選手を派遣できれば「日本国内のeスポーツの知名度を高めることにつながる」(筧さん)という。
アジア競技大会などに、あるスポーツの選手を派遣するためには、そのスポーツの競技団体が日本オリンピック委員会(JOC)の加盟団体になる必要がある。例えば、サッカーだと日本サッカー協会、ボクシングだと日本ボクシング連盟がある。だが、JeSPAは認可団体にはなっていない。
認可団体となるには、例えば「そのスポーツの国内唯一の代表団体であること」という条件を満たす必要がある。だが日本国内には、JeSPA以外にも、一般社団法人e-sports促進機構、一般社団法人日本プロeスポーツ連盟という2つの団体があり、条件を満たしていない状態だ。「仲が悪いというわけではなく、それぞれの団体で役割が異なっており、JOCからは統一を求められている。話し合いで解決したい」(筧さん)。
課題はそれだけではない。国内に複数の支部を持っていること、国内大会を開催していること――などの条件も満たさなければ、JOCの認可団体にはなれない。JeSPAは、2016年と17年に「日本eスポーツ選手権大会」を開催したほか、17年度内には18カ所の国内支部を設けるという。
「いくらメダル種目になっても、日本人が出場しなければ、eスポーツの認知度向上にはつながらない。日本人選手を派遣できるかどうかが鍵」(筧さん)
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