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世界最大の「mstdn.jp」を立ち上げた大学院生“ぬるかるさん”は一体何者か その素顔とドワンゴ入社が決まるまでの10日間に迫る(3/7 ページ)

ネット上で急速に注目を集める新SNS「Mastodon」(マストドン)。日本で注目を集める要因となった“ファーストインパクト”は、ある大学院生が自宅のサーバに立ち上げた日本向けインスタンスだった。彼の人生は約10日間で劇的に変わった。

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──これまでにネット上で何かを運営していた経験はあったのですか?

ぬるかる FOMA専用2chブラウザ「W2Ch」の中間サーバや、2010年ごろにはTwitterの診断メーカー的なもの(なんでもメーカー)、ゲームなんかも自作して公開していました。実はそのころからさくらインターネットのレンタルサーバも使っていて、安心だなと。

ぬるかる父 夏に暑くなったら(サーバがある部屋の)エアコンをつけにいくこともありました。誰もいないのに(笑)。

(FOMA専用2chブラウザ「W2Ch」の中間サーバ:ドコモのフィーチャーフォン向けソフトウェア「iアプリ」は、仕様としてアプリをダウンロードしたサーバとしか通信ができない。アプリが2ちゃんねるのスレッドを読み込むために、アプリを配布した中間サーバを経由する必要があった)

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W2chのサーバリストの中にある「null鯖」、ぬるかるさんだったのか……! お世話になったことがある人も多いのでは

──「mstdn.jp」で自宅サーバに限界がきたとき、さくらインターネットや日本マイクロソフトのAzure担当者からクラウド移行に関する支援の声がありました。最終的にはさくらになりましたが、その決め手は?

ぬるかる さくらインターネットのサーバを選んだのは、(pixivで問題になった)画像の問題が大きな理由だったりします。Twitterでは「日本の法律には触れないけど、海外の法律ではダメ」なイラストをアップしていた人がアカウントを凍結されてしまうようなことがありました。Microsoft AzureやAWS(Amazon Web Services)といった海外資本が入ってるようなところに投げてしまうと、そのへんがマストドンでも問題になりそうだなと。

 それこそマストドンが話題になったときに「この問題がどうにかできるんじゃないか」と真っ先に思いました。だからクラウドに移行するときにも“国内サーバ”というのは維持したかった。

──サーバ運営コストよりも大きな問題があったと

 mstdn.jpをやってみて気付きましたが、本当にまずいのはサーバ代よりも、無修正画像とか援交募集みたいな、放置しておくと犯罪ほう助の疑いがかけられて運営が続行できなくなりそうなコンテンツの問題です。

 長期的に維持するためには、それらを削除する人員などが必要になります。これに関して自分は全く知識がなかった。さくらさんはサーバのホスティングは強いけど、その周辺は強いわけじゃないので、どうにかできないかなと考えていました。

──そこでドワンゴへの入社につながるわけですね。一時は学生生活との両立を悩んでいたようですが、21日にドワンゴへの入社を発表され、ネット上は再度盛り上がりをみせました。どんないきさつがあったのですか。

ぬるかる 他の企業からもいくつか声が掛かっていたのですが、「技術的なことは手伝えるが、コンテンツの法的な管理は難しい」といったところが多かった。そこでドワンゴはどうかなと思っていたら、大学で同じサークルの先輩からSlackでメッセージが飛んできて、そこからトントン拍子で決まっていきました。

 18日の午前0時5分に声がかかり、32分にはFacebookでチャットが立ち上がり、話が進んでいって、午前10時には「明日履歴書を持ってきて」と。

ぬるかる父 本人からは、20日に就職しますと急に連絡がきて驚きました。

ぬるかる ドワンゴはコンテンツも面倒みてくれるというのが決め手でした。さすがに1人じゃ責任を負いきれない。登録者が3万人以上いると、電気通信事業法に引っ掛かるみたいな話もあります。

ぬるかる父 そういうところだけは勉強してたんだね。

ぬるかる 昔、Webサービスを立ち上げるみたいなことをやっていたときに、そういうことを調べていました。

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