宇宙旅行といえば何を想像するだろうか。筆者は地上からまっすぐに飛び立つロケットのようなものを想像していた。ところが、今開発されているのはそれとは全く違う形の乗り物だ。宇宙旅行ビジネスを行う会社「Virgin Galactic」(ヴァージン・ギャラクティック)のCEOジョージ・ホワイトサイズ(George Whitesides)氏は、宇宙資源開発に力を入れるルクセンブルクで2回目の開催となるイベント「SPACE FORUM 2017」で宇宙旅行の未来を語った。
Virgin Galacticといえば、イギリスの実業家リチャード・ブランソン氏が設立した会社。これまで金銭的負担が大きく行く事が難しかった宇宙を簡単にアクセスできる世界にしようと、この会社を立ち上げた。
現在開発しているロケットシステムは、空中発射型。WhiteKnightTwoとSpaceShipTwoという2つので構成されており、双胴に4発のジェットエンジンが取り付けられたオリジナル機「WhiteKnightTwo」の中央に、宇宙へ行くためのロケット「SpaceShipTwo」が取り付けられる。WhiteKnightTwoはSpaceShipTwoを上空5万フィート(15.24キロ)まで運び、分離されたロケットのエンジンを点火、パイロットの操縦により5分間飛行し上昇。その後、無重力状態を体験できる。
SpaceShipTwoは再利用可能で、2人のパイロットを含む合計8人を乗せることができる。また、大気圏突入時も安全なように設計。機体の尾が前方に曲がることで、水平な姿勢を保ったまま着陸できるという。
Spaceportと呼ばれる“飛行場”のようなロケット発着基地は、アメリカのニューメキシコ州に世界で初めて設置。パイロットや飛行士のトレーニング施設も備わっている。
現在、彼らの宇宙旅行には600人以上が申し込み済み。Virgin Galacticは「宇宙こそ我々が所属している場所。地球をどれだけ大切に取り扱うべきか、もっと多くの人が気付かなければならない」と考えている。
(太田智美)
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