「VRが世の中を変えると確信した」 元ネトゲ廃人の公務員がVR専門メディアを立ち上げるまで:新連載・ゆとり記者が聞く(4/4 ページ)
異色の経歴を持つVR専門メディア「Mogura VR」の久保田編集長に、VRに傾倒する理由を聞いた。
VR普及のカギは「一体型」?
VR体験の接点を増やすため、Mogura VRではニュース配信だけでなく、VRの出張体験サービスなども行う。主にビジネスのプロモーションとして活用したい企業からの依頼が多いという。
そこで感じるのは、「VR普及への課題」だ。多くの企業は「何かビジネスに活用したいが、どうしていいか分からない」という段階。それに加え、VR HMDは「ケーブルが邪魔、別途センサーが必要、Oculus RiftなどはハイスペックPCが必要、長時間付けると汗が目の周りについて不快」など、一般ユーザーが使う上での懸念点が多い。
スマホのように普及する上でポイントとなるのが「(PC・スマホ不要で)スタンドアロンで動く一体型デバイス」というが、価格や性能などの面で一般家庭に普及するにはまだまだ時間がかかりそうだ。「パルマー・ラッキー氏も言及していましたが、10年はかかると言われています」。
だが、「メーカーも自身が抱える課題は重々承知」しており、「その課題を解決するスピードがものすごい」という。
「HTC Viveを無線化するキットも、2016年の今頃は話題にも上がっていませんでしたし、とにかくメーカーの動きが速いです。HMDをかけた瞬間コンテンツが始まれば理想ですが……」とVRが生活に溶け込む未来に思いをはせる。
Mogura VRでは、AR(拡張現実)、MR(複合現実)などの周辺領域も扱っていく。最後に久保田さんは、「ネトゲにのめり込んだ経験が今につながっているかもしれない」と振り返る。
「顔も知らない相手と、チャットをしながらゲームを攻略する。バーチャルな世界でのコミュニケーションなのに不思議と親近感がわいて、仲良くなれるものなんです。VRなら、視覚や聴覚を完璧に実現できるじゃないですか。その技術があれば」――。
社会を変えるテクノロジーは、ゲーマーの夢も膨らませる。一般ユーザー向けの情報提供と、業界向け支援の両輪で、Mogura VRは今日も宝石の“発掘”にいそしむ。
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