Intel、「x86のエミュレーションは特許侵害」とARM版Windows 10に牽制
MicrosoftとQualcommが発表した「Snapdragon 835」搭載Windows 10ノートの発売を前に、Intelがx86 ISAのエミュレーションは特許侵害の恐れがあると、誰にともなく警告した。
米Intelは6月8日(現地時間)、x86誕生39周年に寄せる公式ブログ投稿で、「Intelの許可なくx86 ISAをエミュレートしようとしている複数の企業があると報じられている。(中略)われわれは非合法な特許侵害を歓迎しない」と主張した。
直接的ではないが、これは明らかに「Snapdragon 835」搭載Windows 10ノートへの警告だ。
米Microsoftと米Qualcommは昨年12月の「WinHEC」で、次世代Snapdragonプロセッサ(Snapdragon 835)搭載デバイスでWindows 10をサポートすると発表。5月の「COMPUTEX TAIPEI 2017」で、台湾ASUS、米HP、中国Lenovoなどが“間もなく”対応ノートPCを発売すると発表した。
この「Snapdragon 835 Mobile PC Platform」は、かつての「Windows RT」と異なり、x86 Win32アプリが動作するのが特徴。MicrosoftもQualcommも、どのような技術でそれを実現しているのかについては公にしていない。
Intelはこのブログで、「Intelはx86のイノベーションを注意深く守っており、多くの会社にライセンスを提供してはいない」と語り、過去のAMDやCyrixなどとの特許侵害をめぐる法廷闘争について触れた。
Qualcommを提訴すれば、Intelは重要なパートナーであるMicrosoftやPCメーカーを敵に回すことになる。「Snapdragon 835 Mobile PC Platform」がIntelの特許を侵害しているかどうかは不明だ。
Intelは「x86 ISAをエミュレートしようとする新たな企てが(かつてIntelとの法廷闘争の末に業界から去ったTransmetaと)違う運命をたどるかどうかは、時が経てば分かることだ」としている。
関連記事
- Qualcommが「Snapdragon 835」で動くWindows 10をデモ 実際どんな感じ?
Qualcommのモバイル向けハイエンドプロセッサ「Snapdragon 835」でPC版のWindows 10が動く――そんな日がついにやってきた。 - 「Snapdragon 835」搭載Windows 10ノート、“Coming Soon”
QualcommのARMベースSoC搭載でLTE内蔵の薄くて軽い「Windows 10」ノートPCが、早ければ年内にASUS、HP、Lenovoから登場する。 - ARMサーバで稼働する「Windows Server」、MicrosoftとQualcommがOCPで発表
QualcommがMicrosoftと協力して開発したARMプロセッサ搭載のクラウドサーバの仕様をOCPに提供した。MicrosoftはOCP Summitでこのサーバで稼働する「Windows Server」を披露した。 - Qualcomm、次世代SnapdragonでPC向けWindows 10をサポート 搭載機は2017年発売へ
Qualcommは、次世代Snapdragonプロセッサ搭載デバイスにてWindows 10をサポートすると発表した。 - Intelはいつも腕力でライバルをねじ伏せてきた
Intelの「ハードな交渉術」は創立者アンディ・グローブ氏から受け継がれたものだ。AMDによる提訴を機に、Intelはライバルへの態度を改めるべきではないだろうか。 - AMD、米国でIntelを訴える――独占禁止法違反で
AMDは、IntelがPCメーカーや小売業者に自社製品を強制し、その見返りに現金などを提供したと訴えている。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.